北陸新幹線用のフリーゲージトレイン模擬台車=2014年11月、JR敦賀駅構内

 2022年度末の北陸新幹線敦賀開業後、レール幅の異なる新幹線と在来線のどちらの区間でも走行できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の導入が検討されている。ただ車両開発は難航しており、運行開始のめどは立っていない。敦賀開業後の利便性確保を求める声が福井県内で高まる中、現状と課題を探った。

 北陸新幹線でのFGT導入の検討は、国土交通省の交通政策審議会小委員会が12年4月、新規着工区間の金沢−敦賀について「乗り換え利便性の面で優れており、積極的な活用を図るべき」と提言したのがきっかけ。在来線から高架の上にある敦賀駅につなげるFGTのアプローチ線などの費用約300億円を含め、同年6月に着工認可された。

 JR西日本は富山—大阪でFGTを運転する計画。実現すれば、敦賀—大阪がフル規格でつながるまでの間、県内の新幹線各駅から乗り換えなしで関西方面と行き来できるメリットがある。

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 22年春開業の九州新幹線長崎ルートで実用化する車両をベースにした寒冷地仕様が、北陸新幹線に導入される予定。JR西は敦賀駅構内で雪対策の技術を研究開発中だが、肝心の九州用が難航している。

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構とJR九州は14年10月、営業車に近い車両で新幹線と在来線の両区間を約60万キロ繰り返し走る耐久試験を九州で開始した。ところが同年11月、約3万キロ走った時点で車軸付近に摩耗や欠損が確認され、耐久試験は休止したまま。国交省は長崎ルートが開業する22年春には量産段階前の1〜2編成しか確保できず、本格開業は25年春以降になるとの見解を示している。

 耐久試験再開の見通しについて国交省鉄道局技術企画課は「今秋、有識者の技術評価委員会が不具合の対策が適当だったか確認する。順調に進んだ場合、本年度後半を予定している」とする。北陸新幹線用のFGT導入に向けたスケジュールは「車両そのものの開発と雪対策の両方が完了した段階で運行できるようになる。九州の開発状況を見極め決めていく」との考えだ。

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 「22年度末の敦賀開業のタイミングは難しい。(当初予定の)25年度に間に合うかどうか微妙なところだと思う」。新任あいさつのため、8月16日に西川一誠知事を県庁に表敬訪問したJR西の来島達夫社長は、取材にこう答えた。

 福井県の強い要望で敦賀開業は3年前倒しが実現。さらに、30年度末の北海道新幹線札幌開業より早い大阪までの全線開業を国に強く求めている。福井県の訴えが実ってフル規格での整備が早まった上で、FGT導入の時期が遅れれば、その分だけFGT車両の使用期間は短くなる。JR西の真鍋精志会長は社長当時、「10年間とか短い期間だけ運行する車両の開発はあまりない。20年から30年使うのが普通だ」と語っている。

 FGTの車両開発が足踏みする中、県内関係者からは「本当に走るのか。他の手段で県内の乗り換え利便性を確保し、大阪までのフル規格整備を急いだ方がいい」(ベテラン県議)との声も聞かれる。「FGTをどう扱うか、こういう見通しだったらどうなるかということを放っておかずに議論すべき」。西川知事は8月12日の定例会見で強調した。

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