テレビタレント、アイドル、経済評論家……。衝撃的な「ビフォー/アフター」の姿に、毎回のように驚かされている人は少なくないのではないか。ライザップのテレビコマーシャルシリーズだ。

 どうしてあんなに痩せられるのか。大変なことをさせられているのではないか。食事は食べられるのか。あんなに急に痩せて体に良くないのではないか……。そんな思いも浮かぶ。私自身も、そう感じていた。

 だが、著書『ライザップはなぜ、結果にコミットできるのか』の制作にあたり、私は2カ月間、自らライザップを経験することになった。待っていたのは、自分でも予想していなかった事態だった。

 ■「結果」を出すためのロジック

 特に太っているわけではなかった私の体重は、わずか2カ月で7.2kg減った。ウエストは11.8cm減。体脂肪率は25%が17.7%に。久しぶりに会う人のほとんどが私の姿に驚き、「スマートになりましたね」と声をかけられることになった。

 しかも驚いたのは、健康的に痩せられていたことだ。中高年でダイエットをすると、一気に老け込んでしまうこともあるが、そうはならなかった。むしろ私は、若返ったという評価を周囲から得ることになった。

 では、ここまでのダイエットに成功した私は、2カ月間、苦しみ抜いたのか。いや、そんなことはまったくなかった。確かに食事制限で空腹を感じた日もあった。キツいトレーニングメニューもあった。しかし、耐えられないほど苦しかったのかと問われたら、答えは「ノー」だ。もう一度やれるか、と問われたら「やれる」と答えるだろう。

 どうしてライザップは、「結果」を出すことができるのか。そこには、きちんとしたロジックがある。あてずっぽうに無理矢理、痩せさせられるわけではないのである。

 ■「中年太り」のメカニズム

 本を書くにあたって、私は周囲にさまざまな情報収集を試みていた。「ダイエット」や「痩せること」に興味を持っている人は実に多いということを改めて知った。

 だが、驚いたことがあった。それは「どうして人は太るのか」という極めて基本的な質問について、ほとんどの人がうまく答えることができなかったことだ。太ることを気にしているのに、「なぜ太るのか」理解していないのである。だが、私自身もそうだった。それを私は今回、ロジックとして理解したのだ。では、人を太らせているものの正体は何なのか。それが、「糖質」である。

 やっかいなことに、糖質は「甘い物」だけに入っているわけではない。ご飯やパン、麺類、果物、ジュースなど、普段ごく普通に食べているものに、糖質はたくさん含まれている。たとえば、ご飯一膳(150g)には角砂糖に置き換えると約11個もの糖質が含まれている。食パン1枚(60g)なら約6個分。これが人を太らせる。

 

 一方で、同じものを食べていても、若い頃は太らなかった。そこには理由がある。身体の成長中は多くのエネルギーを必要とするからだ。だが、成長が一通り済んだ大人は、エネルギーがそれほど必要なくなる。

 それだけではない。成人の体の筋肉は、何もしなければ誰でも衰えていく。人間の生命を維持するために最低限必要なエネルギーのことを基礎代謝というが、筋肉が衰えるとこれが落ちる。

 基礎代謝が落ち、エネルギーは必要なくなっているのに、若い頃と同じ食事をしていたら、エネルギーは体内で余る。これが、体脂肪として蓄積されていく。こうして太るのだ。

 つまり、筋肉を鍛えるか、運動してエネルギーを消費するか、食事を変えない限りは必然的に太ってしまうのである。個人差はあるにしても、20代後半から筋肉は衰えるという。これがまさに「中年太り」のメカニズムだ。

 このことを理解しておくと、一般的なダイエットのリスクにも気づくことができる。太ってしまったから、太りたくないから、と頑張って苦しいダイエットに挑んでいる人も多い。だが、残念ながらうまくいかず、しかもすぐにリバウンドしてしまったりする。実はここにもロジックがある。従来型の、いわゆるカロリーダイエットは、むしろ人を太らせてしまう可能性がある。

 ■カロリーダイエットの問題点とは

 カロリー全体、食事全体を減らしてしまうと、筋肉も落ちてしまう。ダイエットでげっそりと不健康な雰囲気になるのは、これが原因だ。筋肉が落ちるとどうなるか。基礎代謝も落ちてしまう。そうなれば、必要なエネルギーは小さくなる。ちょっと食事を戻しただけで、あっという間にエネルギーが余ってしまうことになる。これが人を太らせる。

 そもそも太らせるのは糖質である。カロリーではない。実際、ざるそば一人前(200g)とサーロインステーキ(200g)では、果たしてどちらが太るか。前者のカロリーは264kcal、後者は996kcal。どう見ても、そばのほうが太りにくそうに思えるが違う。

 糖質で比較してみると、ざるそばの糖質は48.0g、サーロインステーキは0.6g。カロリーが低くても、ざるそば一人前には角砂糖約10個分もの糖質が含まれている。一見、ヘルシーに見えるものにも、実は注意しなければいけない。

 大事なことは、筋肉を維持しつつ、食事から糖質を減らしていくこと。ライザップがやっているのは、まさにこれ。この合わせ技がポイントだ。栄養をしっかり摂る一方で糖質を食事からカットする「低糖質食事法」と、一回50分、週2回の「筋力トレーニング」だ。実際、私はこれだけで7kg以上も痩せたのである。

 ■リバウンドはあったのか

 実はライザップには健康を求めてくる人も増えているという。肥満は健康にも大きな影響を与える。好きなものを好きなだけ食べているだけでは、病気のリスクも高まる。

 では、ライザップではリバウンドはないのか。ゲストへの調査によれば、1年後で7%がリバウンドした、というデータがあるという。逆にいえば、93%はリバウンドしていない。私自身、実はライザップを終えてから、最低体重記録を更新している。

 なぜか。痩せるロジックを理解しているからだ。食事は以前とは大きく変わった。糖質だらけの食事から、肉や魚、豆腐などのタンパク質や食物繊維を多く摂るようになった。ご飯も食べるし、ビールも飲むが、ロジックがわかっているので、調整ができる。

 体を動かすようにもしている。できるだけ歩くようになったし、テレビのニュースを見ながら軽いストレッチや筋トレをするのも日課になっている。何もしなければ、エネルギーが余ることがわかっているからだ。ロジックを理解したことで、太りにくい生活習慣に変えることができたのである。(上阪徹:ブックライター)

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