福井地震デジタルアーカイブの構築に取り組んだ卒業生の西野さん(右)、本年度取り組む勝田さん(中央)、指導する吉田教授=福井県鯖江市の福井高専

 福井高専(福井県鯖江市)の研究室が、福井地震の被害の写真や体験談などの記録をホームページ(HP)上にまとめた「福井地震デジタルアーカイブ」構築に、20年にわたり取り組んでいる。小型無人機ドローンを駆使した空撮や、スマートフォン対応サイトなど時代に合わせた工夫も。戦後3番目に多い犠牲者を出した大災害の継承に、学生たちが貢献している。

 アーカイブは、吉田雅穂教授の研究室のHPで公開している。きっかけは吉田教授が1998年、福井地震を体験した元教員加藤恒勝さんの手記を読んだこと。地震の時、映画館にいた加藤さんは倒壊した建物に左腕を挟まれた。付近で火災が起こったため、居合わせた人におので腕を切断してもらって脱出し生き延びた。

 吉田教授は「壮絶な体験がつづられていた。多くの人が福井地震について知ることができる環境をつくりたいと思った」と振り返る。当時、一般化し始めていたHPによるウェブ公開にいち早く取り組み、加藤さんの体験談を紹介。以後、同地震のさまざまな資料をデジタルアーカイブ化していった。

 取り組みは、同研究室に所属する学生の卒業研究のテーマとして代々受け継がれてきた。卒業生の西野亜海さん(22)らは研究室に在籍していた時、連合国軍総司令部(GHQ)が地震直後に空撮した写真と現在の様子を比較できるようにドローンで撮影した。西野さんは「福井地震の被害の大きさを知ることができた」と話す。一方、作製したHPを見て防災意識が高まったのか確かめるアンケートを行いたかったが、思うように情報拡散できなかったのが課題として残ったという。

 今年4月から取り組んでいる5年生の勝田奈那子さん(19)は、地震の被害だけでなく火災や切れた電線で感電したことなど二次被害をまとめた上で「多くの人に知ってもらうための方法を研究したい」と意気込む。

 吉田教授は「福井地震の実体験を語れる人々が減り続ける中、震災の教訓を後世に継承していくために写真や資料を可能な限りデジタル化していきたい」と話す。「資料や授業で使ってもらい、防災のことを考えるきっかけにしてほしい」と呼び掛けている。歴代のHPは吉田研究室のページ内「WORKS」に一覧がある。

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