小山朝子さん

 介護保険制度が始まり、介護が必要な人を社会で支える仕組みは整ってきたが、介護する側はフォローできていない。私自身も要介護5の祖母を自宅でみていましたが、家族の負担はまだまだ重い。施設職員の待遇改善や誇りとやる気が持てる職場づくりを含め、社会でどう支援するかを考えていくべきです。

 今は介護者が多様化しています。例えば、シングルマザーの母親が働いているから10代の子どもが祖父や祖母を介護する「ヤングケアラー」がいる。働き盛りの30、40代で、職場の中核になる時に介護が始まり、離職せざるを得ない人もいる。老々介護もある。家族の介護の現場ではさまざまな問題が起きています。

 専門職や家族だけでなく、もっといろいろな人が介護に関わるようになればいい。例えば、1人暮らしでごみを出せない高齢者がいれば、登校中の小学生が持っていくような支え合いが求められています。高齢者宅の電球を取り換えたら、自分が高齢者になった時にサービスを受けられるチケットをもらえるような助け合いの仕組みづくりが必要です。

 行政や制度に頼るだけではなく、いざという時に助けてくれる自分のネットワークを元気なうちに持つことも大切です。今はSNS(会員制交流サイト)で、いろいろな人とのつながりをつくれます。

 自分の親の友達やかかりつけの病院、服用している薬を答えられますか? 介護が必要になってから考えるのではなく、親が元気なうちにコミュニケーションをとっておくことも備えの一つです。

 親との関係がうまくいっていなければ、無理に介護しなければならないと思わず、プロの手に委ねるのも選択肢です。適度に距離があった方が優しくなれることもある。介護に正解はありません。自分ができる形を見つけてください。

 地域や人のつながりを大事にする福井だからこそできる介護があるはず。共働きでも、親の友達や近所の人が介護を助けてくれたり、子どもを世話してくれたり、1人で抱え込まない介護がしやすいと思います。

■小山朝子さん(44) 介護ジャーナリスト

 1972年生まれ、東京都出身。約10年間にわたり祖母を在宅介護した。全国の介護現場を取材し、執筆活動のほか、各地で講演をしている。介護福祉士の資格を持つ。

  ×  ×  ×

 福井を訪れる、さまざまな分野で活躍する著名人や識者にインタビューし、福井へのメッセージや専門的な立場からのアドバイスを聞く。

関連記事
あわせて読みたい