原子力規制委員会が運営主体の変更を求めている高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が再稼働を目指す場合、数千億円規模の国費の追加負担が必要と政府が試算し、菅義偉官房長官を交え、廃炉も選択肢に対応を検討していることが29日、分かった。

 直接所管する文部科学省は現運営主体の日本原子力研究開発機構からもんじゅの関係部門を切り離し、新法人を設置する方向で調整していたが、存廃が政治判断される可能性が出てきた。最終的に廃炉が決まった場合、核燃料サイクル政策の見直しは必至だ。

 もんじゅは保守管理上の問題が相次ぎ、規制委が昨年11月、「原子力機構は安全に運転する資質がない」として文科相に運営主体の変更を勧告。有識者検討会で存続を前提に在り方を議論していたが、受け皿の特定には至らず、規制委への回答が遅れている。

 菅氏は同日の記者会見で「文科省、関係省庁・機関が連携して、政府として対応を検討しているところだ」と述べた。

 もんじゅは250日しか運転実績がないが、建設費と維持管理費にこれまで1兆円以上の国費が投じられている。再稼働には、規制委が高速増殖炉の新規制基準を新たに作り、施設を適合させる工事が必要となる。

 文科省などによると、もんじゅの原子炉内の燃料は長期停止で変質しており、再稼働する場合、新たな燃料に交換する必要もある。政府試算には新燃料の製造費用や、茨城県東海村にある燃料の製造工場を新基準に対応させる工事費なども織り込んでいる。

 維持管理は年間約200億円かかり、研究計画によると、フル出力までの6年間の運転で1千億円超。燃料の製造工場を新基準に対応させる工事費にも1千億円近くかかるとみられ、もんじゅ本体の新基準への対応費も含めると数千億円規模に上る可能性が高い。タービンなど古くなった設備の交換費もかかる。

 一方で、原子力機構はもんじゅを廃炉にするには30年間で約3千億円が必要との試算を2012年にまとめており、存続、廃炉いずれの場合も多額の負担が必至となる。

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