猫の子踊りを披露する大野市の神子踊保存会の会員ら=27日、福井市の県立こども歴史文化館

 福井県大野市や岐阜県郡上市など白山麓の地域に伝わる、猫を褒めたたえる踊り「猫の子踊り」の実演会が27日、福井市の県立こども歴史文化館で開かれた。両市の保存会が初めて共演し、猫の愛らしい所作をまねたユニークな踊りなどを披露。白山麓で「特別な存在」だった猫への愛着をさらに深めた。

 同館で9月4日まで開催している夏の特別展「ワンダフル×ニャンダフル〜暮らしのなかの犬、猫の歴史〜」の一環で企画した。

 同館などによると、かつて養蚕や焼き畑農業が盛んだった白山麓の地域では、蚕の幼虫や雑穀をネズミから守るため、猫を飼うことが広まり、猫を大事にする風習の一つとして猫の子踊りが定着。大野市打波地区や石川県白山市白峰地区、岐阜県郡上市の白鳥、八幡地区などで踊られてきた。

 この日は、打波地区ゆかりの住民でつくる神子(かんこ)踊保存会と郡上市の白鳥踊り保存会を招いた。そろいの浴衣を着た神子踊保存会の11人は「猫も良いわいのネズミ捕る(ネズミを捕ってくれる猫は良いものだ)」で始まる囃子(はやし)に合わせ、素朴な踊りを披露した。一方、白鳥踊り保存会の踊りは、猫がボールでじゃれているしぐさや、子猫が甘える姿を取り入れているのが特徴。来場していた子どもたちも踊りの輪に加わり、珍しい民踊を楽しんでいた。

 山村の打波地区は高齢化、過疎化が進み、神子踊保存会の会員も往時の半分の約50世帯という。幅口隆一会長(77)は「先祖が残してきた郷土芸能を住民の強い絆でこれからも守り続けていきたい」と力を込めた。白鳥踊り保存会の中林千代子さん(78)は「歌詞は似ていたが、振り付けやテンポは異なり、楽しく踊れた。また機会があったら交流したい」と笑顔を見せていた。

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