兜正則院長(右)に500万円の目録を手渡す山岸正裕市長=6月27日、福井勝山総合病院

 福井勝山総合病院(福井県勝山市)の産婦人科支援を目的に、自治体としては異例となる医療使途の寄付金を募っていた勝山市に、市内外の65人から188万円が寄せられた。市は寄付金に上乗せし計500万円を27日、病院に贈った。医療機器の購入に充てられる。兜正則院長は「寄付の大きさは期待の表れ。奥越の皆さんの期待に応えたい」と医療のさらなる充実へ決意を語った。

 同病院の産婦人科は、旧福井社会保険病院時代の2007年度に医師不足から分娩(ぶんべん)の取り扱いを休止。12年1月に常勤医が不在になって以降は、福井大医学部附属病院が派遣する非常勤医4人が交代で週に数日の外来診療に当たってきた。今年4月からは同附属病院が6年ぶりに常勤医1人を派遣。市内唯一の産婦人科医療に明るい方向性が出ている。

 寄付金は常勤医配置の機を逃さず、将来の分娩再開をにらんで医療機器の充実に充ててもらおうと市が4月からクラウドファンディングなどで募っていた。

 寄付者65人の居住地は市内が58%と最も多かった。大野市からの寄付もあり、中には同病院で子ども2人を出産した80代夫婦が感謝の気持ちを表した例もあったという。

 病院で行われた贈呈式では山岸正裕市長が兜院長に目録を手渡した。兜院長は「住民のご厚意に心から感謝している。大切に使わせていただく」とあいさつ。山岸市長は「募集期間が短かったにもかかわらず多額の寄付が集まった。分娩再開はまだ難しいだろうが、(常勤医配置など)病院の取り組みは市民にとっても心強い希望」と期待感をにじませた。

 常勤医配置について、兜院長は取材に「切迫流産に備えた入院の受け入れが可能となり、雪深い奥越の冬でも住民が安心してもらえる体制になってきた」と語った。

 病院では妊婦健診の充実に向け、500万円を老朽化していた診察台の新調、胎児の心拍を見るモニター購入に充てる。市では今後も、同病院で妊婦健診し県内で出産した人を対象に10万円を支給する「にこにこ妊婦奨励金事業」を継続し、支援を続ける構え。

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