ここ数年、健康診断で肝機能の軽度異常を指摘されています。今年はGPTが85、GOTが50(正常値はそれぞれ30以下)でした。γ—GTPなどほかの数値は正常の範囲内です。晩酌は缶ビール(350ミリリットル)1本程度。体重は標準体重よりも約5キロオーバーしています。脂肪肝の可能性があるということで、休肝日を設け、適度な運動を心掛けていますが、なかなか数値が改善しません。(福井県あわら市、35歳男性)

 【お答えします】真田拓・福井県済生会病院内科医長

 ■慢性肝疾患の可能性

 人間ドックで肝機能異常を指摘される人は3人に1人と増加しており、そのほとんどが脂肪肝といわれています。

 脂肪肝はアルコールの過剰摂取も原因となりますが、ライフスタイルや食事の変化によって、肥満や糖尿病などの生活習慣病を基礎に発症する「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」が増加しており、国内では1千万人以上と推定されています。NAFLDのうち10%程度が「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」で、肝炎が持続すると肝硬変に進行する可能性高くなり、肝がん発症のリスクが上がるため、脂肪肝といっても油断できません。

 ご相談の方は、炎症などで肝細胞が壊れると血液中に逸脱する酵素であるGOT(AST)とGPT(ALT)の軽度上昇を数年認めていることから、何らかの慢性肝疾患と考えられます。飲酒量は多くなく、GOTよりもGPT優位で、アルコール性脂肪肝で上昇することの多いγ—GTPが正常であることや、体重増加があることなどから、他の肝機能異常の原因がなければ、NAFLDの可能性が高いと考えます。

 ■基本は食事、運動療法

 治療の基本は生活習慣の改善であり、食事・運動療法を行うなどして標準体重を目標に体重をコントロールし、糖尿病などの生活習慣病の治療により改善が期待できます。しかし、努力しても変化がない場合、一度肝臓専門医に受診し、他の病因を調べた方がよいでしょう。

 病因としてまず重要なのは肝炎ウイルスで、B型肝炎やC型肝炎であれば抗ウイルス療法を開始することでウイルスを排除または抑制し、炎症を抑えることができます。他にも、自分の肝臓を標的にして免疫反応を起こしてしまう自己免疫性肝疾患や、薬剤、健康食品、サプリメントなども肝障害を引きおこす可能性があります。エコーやCTなど画像診断で腫瘍や胆石などが合併していないか確認しておく必要もあるでしょう。

 また、肝炎の原因診断だけでなくNASHなのか、肝硬変に進行しているかの評価のために、肝生検で組織を確認することも必要です。最近では「フィブロスキャン」という機器で肝臓の硬さと脂肪量を簡単に測定することができます。なお治療の基本となる食事、栄養管理に関しては意外に間違っていることもありますので、管理栄養士に相談されることをお勧めします。

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