福井大医学部の小坂浩隆教授

 発達障害の一つ「自閉スペクトラム症」の男性に、オキシトシンというホルモンを継続投与すると、同じしぐさや言い回しを繰り返す常同行動が改善することを国際的な基準で確認したと浜松医大、福井大などの研究チームが6月29日、英医学誌電子版に発表した。大規模な臨床試験を行い、国際的な基準で治療効果や安全性を検証したのは世界初という。

 一方、自閉スペクトラム症のもう一つの代表的な症状である対人コミュニケーションの障害では、明確な効果が確認できず、さらに検討すべき事項があるとしている。

 研究チームには、2大学のほか、金沢大と名古屋大が参加した。知的障害のない自閉スペクトラム症の男性計103人を対象に、オキシトシンを鼻からスプレーで投与するグループと、偽薬を使うグループに分け、臨床試験を行った。国際的な判定方法「自閉症診断観察検査(ADOS)」で、2014年12月から約1年半にわたり効果を調べた。

 その結果、オキシトシンを投与したグループで常同行動の軽減が確認できたのに対し、偽薬のグループは変化がなかった。対人関係の障害は、両グループとも改善がみられ、差がなかった。また、オキシトシンを投与したグループでは、相手の目を見る時間が増えたという。

 オキシトシンは脳内で分泌されるホルモンで、安心感や信頼感をはぐくむ作用があるとされる。研究チームに参加した福井大医学部の小坂浩隆教授(44)は「オキシトシンによる自閉スペクトラム症の改善を国際的な基準で確認できた。治療薬が承認され、安全に処方できるようになることを期待したい」と話している。

関連記事