かわいいペット、自慢の弁当・料理、アクセサリー、部屋。これらの写真に共通する「リスク」……おわかりになりますか?

 実はコレ全部 「画像の“位置情報”で自宅がバレてるんじゃない?」という写真なのです。

■「たぶん家はココだよね」

 ペットはたいてい自宅にいます。弁当料理は、出来たてのいちばん美しいタイミング、つまりキッチンで撮影してるはず。アクセサリーなら、落ち着いて撮影できる自宅で撮っている可能性が高いですよね。部屋はもちろん自宅です。

 今はデジカメだってスマホだって、画像に“位置情報”(緯度・経度のデータ)を埋め込みます。このような画像に、位置情報を付けたままブログにUPしたり、それほど親しくない人にメールで送ったりすれば、当然「たぶん家はココだよね」とわかってしまうわけです。

 試しに「弁当」というキーワードで画像検索してみて下さい。「どう見てもコリャ台所だね、しかも位置情報もしっかり付いてるなぁ」という画像が見つかりますよ。

 ついでに「部屋から虹が」というキーワードでも画像検索してみましょう。ホテルの部屋から撮影されたっぽい、きれいな「虹の写真」に混じって「どう考えても自宅だね。しかも位置情報付き」という画像が、けっこう見つかります。

 「そんな細かいこと、いちいち気にしないよ」という方はともかく「怖いなあ」と思われる方、ご心配なく。写真に位置情報が埋め込まれるのは、「シャッターを押した時に位置情報を埋め込む」という設定にしているからです。この設定を「埋め込まない」にすれば、とりあえず位置情報のうっかりミスはなくなります。

 iPhoneなら、「設定」→「プライバシー」→「位置情報」→「カメラ」 を選んで「許可しない」を選択。androidなら、アプリそれぞれに設定メニューがありますから、アプリを立ち上げて、設定メニューを開いて、埋め込まない設定に切り替えればOKです。デジカメなら説明書に手順が書いてあります。

 Androidで1つ注意が必要なのは、位置情報の呼び名が機種、メーカーによってバラバラな点。「位置情報」、「ジオタグ」、「ジオタギング」「GPS」、これ全部、位置情報のことなんです。

 ちなみに、カメラアプリをたくさんインストールしているのであれば、アプリそれぞれに設定が必要ですのでご注意を。

■位置情報ナシで、撮影場所がバレることも

 では、写真に位置情報が埋め込まれていなければもう安心? 残念ながらそんなことはありません。たとえば、位置情報が埋め込まれていない1枚の風景写真。この写真を巨大掲示板「2ちゃんねる」に投稿してみましょう。

 

 「オマエらこの写真の撮影場所、どこだと思う? 当ててプリーズ」なんて書き込めば、ものの数時間、ヘタしたら数十分で「特定した!」となります。位置情報ナシで、あっさり撮影場所がバレるのはなぜなのか?

 「撮影時期と太陽光の角度」→エリアを推測。「電柱の仕様」、「マンホールのデザイン」→地域の絞り込み。「車のボディーに写り込んだ景色」、「カーブミラーの映り込み」→番地の特定……これらすべて、実際に過去、2ちゃんねるで撮影場所の特定に至った際の「手がかり」です。

 ちなみに先日放送された天皇陛下の「お気持ち表明」では、陛下の右後ろの焼き物、左後ろの飾り石、使用されたマイクの型番までが、放送中に特定されており、収録に使われたカメラの機種も、放送後まもなく特定されています。ネットの世界は、偶然でも誰か「ひとり」が知っていれば、瞬時に全員が知ることになるんです。

 さすがに、日々ネットを使う際にこんな細かいことまで気にする必要ありません。「炎上」でも引き起こさなければ、ここまで気を配らなくても大丈夫。でも、たとえばタチの悪いストーカーに狙われた場合、このような知識が身を守る武器となります。まあ、知っていて損はないでしょう。

■タイトルと日記の1行目までで、個人を特定できるケース

 では「私は今までもこれからも、写真なんて1枚も公開しない! 完璧である! だから大丈夫」なんていう方が、もし仮にいたとしたら……残念ながら、答えはNOです。

 これは、ほぼこのままに近い形で実在するブログ(固有名詞はガッツリ入れ替えましたが)です。このブログの場合、タイトルと日記の1行目までで、個人を特定できます。

 今年の春に、東大大学院の●●●研究科なんていう珍しい理系の研究室に入った、しかも「女子」。下手したら1人〜2人、そんなレベルです

 ●●●研究科のWebページを片っ端からチェックすれば「たぶんこの子だね」というアタリは簡単につけられるでしょう。

 自宅の特定だって簡単です。「歩いてちょうど10分に地下鉄の駅が2つ」これだけで住んでいる区内でのエリアが特定できます。「学校まで自転車で20分」、「途中に坂道があって大変」、「2階の南向き角部屋」、もう十分ですね。

 25、6歳の女性が自転車を20分走らせると、だいたい4.5km進みます。学校から住んでいるであろうエリアに向けて4.5㎞くらいの移動距離で、途中に坂道があるルート限定、しかも学生の一人暮らしだからアパートかマンションの2階、南向き角部屋……部屋の特定も不可能ではありません。個人情報を書かなくても、個人情報は特定されるのです。

 これほかにも、たとえば「ゲリラ豪雨だぁ! 洗濯物が……」とか「家にいたら停電! PC落ちた」などの書き込みもリスクを生みます。その時間帯にゲリラ豪雨や停電が発生していた地域を、過去にさかのぼって絞り込めるサービスもあるのです。

 しつこいですが、「炎上」でも引き起こさなければ、日々ネットを使う際にこんな細かいことまで気にする必要ありません。でもタチの悪いストーカー(以下略)。

■「長期外出中」と投稿するリスク

 そして、実はリスクがメチャクチャ高いのに、ほとんどの人が気にしていない、こんな投稿があるんです。

 「明日から家族で旅行! ひさびさの海外です」

 自宅玄関に「長期外出中」って貼りだしているようなモンです。世の中の空き巣家業の方々には「タマランねぇ♪」という素敵な情報ですよコレ。実際に海外では、SNSで確認したターゲット宅に忍び込むことを専門にしていた空き巣が捕まっています。空き巣いわく「これほど確実なビジネスはないぜ? だろ?」だよな。

 とは言いつつ、今回お伝えした内容はどれも、交通事故に遭うリスクよりもはるかに低いものです。インターネットは知識は持って、適度に、正しく怖がって使いましょう。(小木曽健:グリー 安心安全チームマネジャー)

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