【越山若水】話を分かりやすくするのに、紙とペンを用意していただきたい。次に、紙に大きく十文字を書く。さて、これは何?実は世界の家族形態を分類する座標軸である▼縦軸は親子関係を表す。上へ行くほど自由主義、下へ向かうほど権威主義とする。一方の横軸は兄弟関係を意味し右は平等、左は不平等と仮定するわけである▼その上で各国の伝統的な家族を分類する。日本は父親が君臨し長子相続だったので、親子関係は権威主義で兄弟は不平等。すると、4分割された画面の左下にくる▼同様に分けていくと英米は左上、中国とロシアは右下。そして日本と対極の右上にくるのは、フランス(パリ周辺)だ。書き込んで眺めていただこう。何か気付かないだろうか▼フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏の理論を元にした分類法である。氏は、ソ連崩壊やトランプ米大統領の誕生などを次々に予言し「世界の知性」の評判も高い▼その武器が「家族」である。よく切れる刀であるらしく、先の単純な4分類からも中国とロシアがなぜ社会主義を選んだのか、答えが見えてくる▼つまり「家族の形態に似せた、政治形態にしたということ」(平川克美著「喪失の戦後史」)。でも核家族化していくのも必然らしい。子を産まない方が幸せだと考える人は「勝手」と自民党の重鎮は言ったが、いささか見識を欠く。

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