敦賀市樫曲の中池見湿地で、広島県以南から奄美大島に分布するとされる苔(たい)類の「フチドリスジゴケ」が見つかったことが十日、分かった。全国でも数カ所でしか確認されておらず、研究者は「北限、東限が広がったことが裏付けられ貴重な発見」と話している。

 昨年八月下旬、中池見湿地で日本蘚苔(せんたい)類学会大会野外観察会が行われた。全国から参加した研究者が観察を兼ね、初の蘚苔類調査を実施し、三十五科五十四属七十一種が確認された。

 このうち、苔類を千葉県立中央博物館上席研究員の古木達郎さん(48)が調べた結果、広島県以南から奄美大島にかけ分布しているフチドリスジゴケが確認された。

 フチドリスジゴケはスジゴケ科で、ゼニゴケの仲間。東南アジアなど温暖な地域に繁殖する学名「リカルディア・マルギナータ」の変種で、これまで広島、山口、熊本県など数カ所でしか確認されていない。同湿地の土手の斜面で古木さんが採集した。

 古木さんは「福井県で見つかったことで、北限、東限が広がったといえる。苔類は胞子が飛んでいくが、環境が悪いと育たない。中池見湿地の環境が適していて繁殖したのでは」と話している。

 中池見湿地の保全に取り組むNPO法人ウエットランド中池見の笹木智恵子理事長は「湿地は生物の多様性に富んでおり、南方、北方系が交差している。初の調査で特殊なものが見つかり、新しい中池見をみた感じがする」と話し、動植物の調査を歓迎している。

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