福井地震後の集中豪雨による九頭竜川堤防の決壊地点付近で当時を語る細川嘉徳さん=福井県福井市灯明寺3丁目

 西藤島中(現灯明寺中)1年で13歳だった細川嘉徳さん(83)=福井県福井市=は、日野川河川敷で家の畑仕事を手伝っていて、強烈な揺れに襲われた。地面に倒されながら「何が起きたのか全く分からなかった」。

 最初の揺れが収まると、急いで堤防に駆け上がった。約500メートル先にある現安竹町の自宅を確かめるためだ。集落を覆う土煙が晴れるのを1分ほど待った。目に飛び込んできたのは、一面がれきの「別世界」だった。

 自分の集落を含め、西藤島村(現福井市)の大半の家が全壊した。自宅に戻ると、小学生の弟妹3人は何とか外に飛び出して無事だった。子を亡くした女性の泣き叫ぶ声が、隣村からも響いていた。崩れた自宅はわらぶき屋根だけが残り、屋根裏の物置部分を家族9人の仮住まいにした。

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 地震発生からわずか1カ月足らず。住民はまだ、がれきを集めて自力で家を建て直すのに必死だった。あちこちで小屋の下敷きになった農耕牛が放置され、悪臭が漂っていた。そんな村に次の災害が追い打ちを掛けた。集中豪雨だ。

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