たすきを掛け、支援者と一緒に笑顔で走る堀江将尊さん(手前右から2人目)=昨年9月、福井県福井市(2017福井RUNーTOMO実行委員会提供)

 岡田さんは、認知症サポーター養成講座を行う際、必ず堀江さんの写真を紹介する。「たとえ認知症であっても、景色を見て、いろんなことを感じ、誰かと共有しようと思える。そのことが素晴らしい」と思うからだ。

 4月に同市内の小学校で開かれた養成講座。4年生の女子児童は「認知症の人は何も分からない人だと思っていた。うれしいとか悲しいとかいう気持ちがあるとは思わなかった」。

 多くの福祉関係者は「堀江さんのような前向きな人たちの存在によって、認知症という病気の理解が進めば」と期待する。

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 認知症の当事者が自身の経験を語る動きが目立ってきた。昨年4月に京都府京都市で開かれた第32回国際アルツハイマー病協会国際会議には、過去最多の200人以上の当事者が参加。会場には当事者たちがもてなすカフェもできた。

 参加者の一人、39歳で若年性アルツハイマー病と診断された宮城県仙台市の会社員丹野智文さん(44)は「認知症になったことを悔やむのではなく、認知症とともに生きる道を選んだ。みんなで支え合う社会をつくりましょう」と呼び掛けた。

 同年9月、安心して暮らせるまちを目指し、当事者や家族、支援者らが日本列島をリレーする駅伝「RUN TOMO―RROW2017」が福井県嶺北一円であり、シンボルカラーのオレンジ色のTシャツを着たランナーがたすきをつないだ。その中に堀江さんの姿もあった。2年連続の出場だ。

 イベントに誘った山崎さんは、堀江さんの妻と一緒に後ろに付いて見守った。ゴール後、見ず知らずの人たちが、次々と堀江さんに「お疲れさま」と声を掛けた。山崎さんは、丹野さんが言う「みんなで支え合う社会」の風景を見た気がした。

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