北陸の打線をけん引する(左から)八木雅也、内藤翔太、中川大治、三ツ井将大=7月28日、同校グラウンド

 試合前、北陸の三ツ井将大主将はじゃんけんに勝つと必ず「先攻」を選ぶ。理由は簡単だ。「先に点を取って、勝ち逃げするためです」

 北陸は今大会5試合すべてで先攻を取っており、うち4試合は初回に点数を入れている。決勝では初回の得点はなかったが、続く二回にはしっかりと先制。5番内藤翔太はさらりと言う。「先取点はルーティンみたいなもの」と。電光石火の攻撃こそ北陸の専売特許になっていた。

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 4年前に同校に赴任した谷津田伸二監督は主体性を重んじるチームを育ててきた。「自分で考えて動かないと100パーセントの力は出せない」と強調する。自ら判断して動いた結果、それがミスになっても叱ることはしない。だからこそ、選手も思い切ったプレーができるのだろう。

 その姿勢は試合中も変わらない。例えば、高校野球のセオリーともいえる犠打のサインをほとんど出さない。「やらされたバントを失敗するぐらいなら併殺の方がいい。やれることをやってダメなら切り替えられる」からだ。

 指揮官の信条を選手も十分に理解する。「一〜三回に打って先制をしよう」。大会中、選手が言い合ってきた言葉だ。そのために徹底したことは「空振りしてもいいから初球を振る」(三ツ井主将)ということ。5度の先制点で犠打は一つもない。気持ちのいいフルスイングで狙い通りの先制攻撃を展開した。

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 打撃以上に積極的な姿勢が光るのが走塁。13盗塁を決めているがすべてノーサイン。「もともと機動力なんて使えなかった。練習試合で走って走って感覚を養った」と指揮官。三ツ井主将も「ノーサインは勘が大事。たくさん失敗したけど、それが強みになった」と自信を持って言う。

 もちろん、やみくもに走るわけではない。「(投手が)何秒持ったらけん制はないとか、試合中はそういうことばっかり考えている」と内藤。成功する自信があるから走る。事実、盗塁の失敗はゼロ。“足”こそ流れをつくる一番の武器だという。「甲子園でも臆しない」(三ツ井主将)。思い切り走って、思い切り打つ。そんな北陸の野球を全国に見せつけるつもりだ。

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