【論説】北陸はものづくりの伝統が古くから息づき、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)を積極的に取り入れて世界と勝負する企業が数多くある。北陸経済連合会などが発刊した冊子「北陸のシェアトップ150」には、国内外で高いシェアを誇る3県の優良企業が網羅され、技術の粋が見てとれる。

 ▽画期的な技術を有する▽将来にわたって需要が見込まれる―などを選定基準に、北陸3県で122社、155製品をピックアップ。このうち福井は37社、50製品が紹介されている。2014年工業統計によると、県内の製造品出荷額上位3業種は、電子部品・デバイス・電子回路、化学工業、繊維で、製造業全体の4割を占める。

 世界シェア100%は県内で二つ。食品工業自動機械製造コバード(坂井市)の発酵生地用包成機は、パンやドーナツなどの生地を傷めずに具材を包むことができる機械として知られる。サカセ・アドテック(同)の三軸織物複合材料は繊維などの素材を縦横斜めの3方向に編み、高い強度を持つのが特長。ゴルフシャフトや釣りざお、宇宙衛星アンテナなどに利用されている。ともに福井が世界に誇る企業だ。

 このほか、国内シェア100%の企業では、小野谷機工(越前市)の全自動大型タイヤ交換機、ミルコン(福井市)のコケや藻が自生するコンクリート製品、青山ハープ(永平寺町)のハープ、ヤマトタカハシ(敦賀市)のおぼろ昆布シートなどが有名。

 冊子では、北陸のものづくり企業を支える要因にも考察を加えている。一つは北陸は辛抱強く仕事に取り組む企業風土があり、転職率が低いということ。雪深い冬に余剰労働力を地域内で活用するための産業振興が積極的に行われてきたため、共同体意識が強く、勤勉で進取の気性に富んだ風土を育ててきたといえる。

 また全国的にみても教育水準が高く、女性が社会進出していることも産業発展の一因。背景には3世代同居率の高さと、女性が細かな仕事を要求される繊維や電子部品産業の発展を支える原動力になったことがあるという。

 さらに北陸は首都圏、中京、近畿の3大都市圏に比較的近く、高速道路や北陸新幹線など高速交通網の充実でアクセス条件が優位になったことも要因として挙げられる。23年春の北陸新幹線県内延伸でさらに利便性が高まり、北陸の重要性が増すことも考えられる。

 冊子は北経連のホームページ(HP)で見ることができ、AR(拡張現実)機能で製品の情報も得られる。県内企業の優れた技術に触れ、理解を深めることの意義は大きいだろう。

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