高齢者と会話をしながら軽めの運動をする堀江将尊さん=4月、福井県福井市若杉1丁目の「トレフル」

 「きょうは密着取材を受けるんや。緊張するわ」。福井県福井市内のデイサービスリハビリセンター。堀江将尊さん(57)=同市=が、一緒に運動している90代の女性に話しかけると「へえ、そう。すごいの」と笑顔が返ってくる。

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 みんなで、きょうの日付や曜日を確認した後、座ったままで肩や首をゆっくり動かす。運動の合間には、スタッフの声掛けで、野菜の名前を言い合う。「キュウリ」「ダイコン」「ニンジン」…。

 「この人は本当にいい人。気さくで話しやすいんや」。おしゃべり相手の女性が堀江さんを評して言う。施設にやってくる知的障害の20代女性は、大切にしている人形を、堀江さんにだけは貸してくれる。

 所在なげに立っている人を見つけては、椅子を勧めるのも堀江さんだ。施設のスタッフは「利用者同士のつながりを生み出す上で、堀江さんの存在はありがたい」。そんな堀江さんは若年性認知症だ。

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 県内で要介護認定を受けている認知症の人は2万8486人(2017年)で、05年に比べ81・3%増えた。25年には日本の高齢者の5人に1人が認知症になるといわれる。

 一方、65歳未満での発症は、若年性認知症と呼ばれる。09年の厚生労働省研究班の推計では全国で約3万8千人、福井県内は千人ともいわれる。別の調査によれば、若年性認知症で就労経験がある人の約8割が失職した経験を持つ。発症を境に世帯収入が「減った」のは約6割を占めた。

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