豊田工業が県工業技術センターと共同開発した少量の蒸気で発電できる小型発電機=福井県坂井市内の染色工場

 工場設備設計・製造・保守の豊田工業(本社福井市二日市町、豊田熙之(とよだひろゆき)社長)は、染色工場の余剰蒸気でタービンを回す小型発電機を、福井県工業技術センターと共同開発した。少量の蒸気でも発電できるのが特長で、年間数十万円から100万円分程度の電力を賄えるという。

 省エネ法などによって工場施設にはエネルギー消費量の低減と平準化が求められる中、繊維関連企業と取引がある同社は工場の余剰蒸気を活用することに着目した。大型船舶や下水処理場などで使われる送風機の部材を改良して発電用タービンに活用する形で、2013年から試作に着手。15年11月からは坂井市内の染色工場に出力5・5キロワット級の装置を設置して実証実験を行った。

 この工場ではボイラーで発生させた蒸気をいったん減圧調整し、複数の配管を通じて各染色工程に回している。実験では発電機を蒸気が染色工程に回る前段階に設置。蒸気の一部を発電に利用するとともに、発電機が減圧装置の代替機能も果たした。

 「地域資源活用共同研究事業」の一環で共同開発に当たった県工業技術センターの佐野弘主任研究員によると、従来の小型蒸気発電機は1時間当たり1トン以上の蒸気量と0・4メガパスカル以上の圧力差が必要だった。これに対して開発した発電機は、1時間当たり0・2トンの蒸気量と0・05メガパスカルの圧力差でも発電できるという。実証実験では1日12時間、年間300日稼働させた場合、施設内で約30万円分の電力を賄えるデータが得られた。

 蒸気漏れや高温への対策などの工夫を施して実用化にこぎ着けた。電気事業法に基づく発電用火力設備の技術基準も満たしているという。

 箱に入れた場合のサイズは縦120センチ、横40センチ、高さ80センチ。ほぼ同じサイズで出力15キロワット級まで対応できる。販売価格は出力に応じて数百万〜1千万円前後を想定し、年間受注目標は10台としている。

 同社は、染色工場のほか農業用ビニールハウスや木質バイオマス向けのボイラー施設にも用途を広げたい考え。豊田社長は「省エネ推進の社会的な要請に応じる企業に対し、広く販売していきたい」と話している。

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