【論説】プロ野球独立リーグのルートインBCリーグ西地区で、福井ミラクルエレファンツが3年ぶりの前期優勝を果たした。今シーズンは田中雅彦新監督の下、苦境にあっても前向きで攻守に隙のない、応援したくなる好チームである。23日から始まる後期も持ち前の粘り強さを発揮し、完全優勝を成し遂げてほしい。

 チームは前期終盤、大事な試合で接戦を多くものにし、栄冠をたぐり寄せた。優勝を決めた21日の富山戦は、相手より放った安打は少ないながら、効果的に得点を挙げて4―1の快勝。今季の戦いを象徴するゲームだった。

 シーズン前、エレファンツは決して順風満帆ではなかった。オープン戦と練習試合の計6試合で勝ったのは1回。大学や社会人チームにも苦杯をなめた。

 それが、シーズンに入ると目が覚めるような快進撃を見せた。けん引したのは強力打線。4月は7勝1敗で乗り切ったが、この間に計70得点を挙げている。25点を取った試合もあった。

 終盤は一転、粘り勝つゲームが増えた。6月12日は逆転勝ちで首位に浮上。その後2位に落ちたが、17日の頂上決戦は信濃に2点差で勝利し、18日、21日と連勝して優勝を決めた。終わってみれば、球団最高勝率で前期を駆け抜けた。

 「明るく、全員で目標に向かうチームに」。田中監督が目指す姿という。打ち勝っていた序盤も強かったが、真骨頂は投手力、守備力で流れを引き寄せていた終盤にあるのだろう。戦いを通じて、チームはまとまりという武器を手に入れていったといえる。

 その成長を、田中監督はどう導いたのか。「考えを選手に押しつけない。一緒に考えて成長を促す」。チーム内の監督評は、サッカー日本代表の西野朗監督と通じるものがある。

 西野監督は就任後、結果が出なかった時期も決して下を向かず、「おれは世界を知らないから」と海外組に積極的に意見を求め、伸び伸びとしたプレーを引き出したという。田中監督も選手のミスを責めず「思い切った、前向きプレー」を常に求めている。

 選手を深く信頼する2人だが、違いは西野監督がどっしり構えている印象なのに対し、田中監督はとにかくよく動くことである。ノッカーやブルペン捕手に加え、打撃投手では500球以上投げることも平気。野球がどれだけ好きかが伝わる逸話だ。選手も知らず知らず発奮しただろう。

 余韻に浸る間もなく始まる後期は、7月1日に敦賀市総合運動公園野球場で行われる滋賀戦が最初のホーム戦となる。多くの県民にチームの凱旋を出迎えてほしい。そして後期スタートダッシュの弾みにしたい。

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