アトピー性皮膚炎の年齢層別推定患者数

 発疹やかゆみの寛解(症状が出ない状態)と再発を繰り返す「アトピー性皮膚炎」。中等症から重症になると睡眠障害や抑うつ症状が現れ、生活の質(QOL)に影響を及ぼす場合がある。塗り薬など既存の治療で効果が不十分な患者を対象にした注射タイプの新薬が今春、発売された。福井県内の総合病院でも処方が進み、治療の新たな選択肢の一つとなっている。

 厚生労働省の調査(2014年)によると、アトピー性皮膚炎の患者は全国で約45万6千人いるとみられる。10~20人に1人が中等症から重症の患者。広範囲に発疹ができるのが特徴で、持続性のあるかゆみ、皮膚の乾燥、紅斑、毛細血管の出血などを伴うことがある。

 新薬は、フランスの大手製薬会社が製造販売する「デュピクセント」(一般名デュピルマブ)。アトピー性皮膚炎の治療薬としては初めての生物学的製剤。慢性的な炎症の主な要因とされる二つのタンパク質の働きを阻害する作用があり、中等症から重症患者の皮膚病変改善に期待できるという。ステロイド外用薬など抗炎症外用薬で効果が不十分な15歳以上が主な対象となる。一定の施設基準を満たす総合病院で処方してもらえる。

 成人の場合、初回に600ミリグラムを皮下投与し、その後1回300ミリグラムを2週間間隔で皮下投与し続ける。5月に30代男性に初めて処方した福井赤十字病院(福井市)の八木洋輔・皮膚科副部長は「全身に発疹や強いかゆみが出ていたが改善がみられている。塗り薬の使用量が少なくなり、患者さんはおおむね満足している」と語る。

 妊婦や妊娠可能性のある人、高齢者、ぜんそくなどのアレルギー性疾患がある人は投与に注意が必要とされている。300ミリグラムで約8万円で、公的医療保険により1~3割を負担する。八木副部長は「現在のところ費用はかかるが、今までにない作用の薬といえる」と話している。

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