ハラスメント行為禁止を乗客に呼び掛けるタクシー車内の掲示=6月20日、福井県福井市西開発3丁目の福井都タクシー

 福井都タクシー(本社福井県福井市西開発3丁目、筒井基好社長)をはじめとする同社グループ3社は、運送に関する決まりを記した約款に、乗客によるセクシュアルハラスメント(セクハラ)、言葉や態度で人を傷つけるモラルハラスメント(モラハラ)などの行為があった場合、警察に通報したり、損害賠償を請求したりするといった独自の項目を追加した。乗務員を不快にさせる事例が増加傾向にあることから、乗務員を守るとともに、人材定着にもつなげたい考えだ。

 同社によると、県内業界では初の試み。約款は全国のタクシー会社が標準的に採用している「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款」で、事業者が負う責任や乗客に禁じている行為などを記載。福井タクシー、都タクシーを含めた福井都タクシーグループは今回、約款の変更について中部運輸局の認可を得た。

 乗客によるセクハラやモラハラは、業務の遂行に支障を来すため全国のタクシー会社が対応に苦慮している。同社グループでも月に1、2回は乗務員への理不尽な要求や暴言などがあるといい、担当者は「モラハラによって精神的に傷つき、辞めていく乗務員もいる」と明かす。

 業界は人手不足である一方、今秋の福井国体や2023年の北陸新幹線敦賀開業時にはタクシーの利用客が増えると予想されている。同社グループは乗務員の定着や確保に向け、安心して働ける環境を整えようと約款を変更した。

 乗客からハラスメント行為があった場合は乗務員が行為の中止を求めるとし、乗客が応じなければ運送の拒否、警察への通報、損害賠償請求などの措置を取ることを明記した。約款の変更に伴い、同社グループは乗客に対する乗務員のハラスメント行為禁止についてもあらためて指導した。

 6月18日から、変更した約款にのっとった営業をしており、タクシーの助手席シートの裏側にハラスメント行為禁止を呼び掛ける注意文を掲示している。同社グループの乗務員数は約110人で、このうち女性は2人。担当者は「女性の採用も増やしていきたい。そのためには安心して働ける環境が必要だ」と話している。

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