全国の改選1人区と同様に与党対野党統一候補の構図となった福井選挙区は、大方の予想通り自民現職の山崎正昭氏が勝利した。改憲勢力が参院全議席の3分の2に届くかが大きな焦点だったが、憲法改正は明確な争点にはならず、安倍政権の経済政策アベノミクスの継続を訴えた山崎氏を県内有権者は支持した形だ。

 「安保関連法廃止」を掲げて選挙戦に臨んだ野党統一候補の新人横山龍寛氏に対し、山崎氏は序盤から「アベノミクスを前進させるか後退させるかの選挙だ」と主張。憲法改正については、ほとんど語らなかった。アベノミクスに関しても横山氏は副作用の方が深刻と批判したが、対案は示せずに争点はすれ違った。論戦が低調なまま、最後まで選挙戦は盛り上がりを欠いた。

 明確な判断材料が見当たらない中で、県内有権者は何を基準に選んだか。結局は参院議長まで務めた山崎氏の豊富な政治キャリアや、中央との太いパイプを生かした手腕に将来を託した。地方への効果が十分行き渡らないアベノミクスに不満はくすぶるものの、重要局面を迎える北陸新幹線延伸など県政課題は与党主導で前に進んでいる。期待値込みで安倍政権の継続を選択したといえる。

 福井選挙区は山崎氏が勝利したが、県内有権者はこのまま「自民一強」の状況を良しとしているわけではない。福井新聞社が選挙戦終盤で行った世論調査では、自民を支持すると答えた有権者は42%で、前回参院選調査の50%から大きく下げた。ただ民進の支持率も低下し、逆に無党派層が拡大。野党共闘が反自民の受け皿にはなり得なかったと推測される。

 選挙戦では双方が民共批判、安倍政権批判を繰り返し、生活に直結した年金や医療、介護、子育てなど社会保障の議論は置き去りにされた感がある。18歳以上に選挙権が付与された歴史的な選挙だったにもかかわらず、若者への訴えが不十分だったことにも不満が残る。

関連記事
あわせて読みたい