救急車から医療機関に心電図を送るシステムの実証試験=4日、福井市の福井循環器病院

 福井大が開発している、患者の心電図などの情報を救急車から医療機関へリアルタイムで送る新システムの機能を確認する公開実証試験が4日、福井循環器病院(福井市)と大野市消防本部をつないで行われた。2015年度に一部地域で始まった試験運用は、福井県などの補助を受け、今年7月から県内ほぼ全域に拡大。急性心筋梗塞の患者の救命率向上が期待される。

 心電計で測定した情報を、大量のデータが高速で送受信できるインターネット上のクラウドサーバーを介してやりとりする仕組み。患者が着く前に医療機関は診断、準備ができ、治療開始までの時間が短縮できる。

 15年度から試験運用する勝山市消防本部、嶺北消防本部と同大医学部附属病院に加え、新たに大野市、南越、若狭の各消防本部が参加し、既に患者の搬送、治療に活用した例もある。医療機関も福井循環器病院、中村病院(越前市)がシステムを導入、近く県立病院(福井市)、杉田玄白記念公立小浜病院(小浜市)も加わる予定。

 この日の公開試験では、大野市消防本部から心電図や患者の映像、位置情報を送信。同時に福井循環器病院で医師が状態を診断し、スタッフの招集など治療準備を始めた。従来は救急車の専用心電計を使ったが、導入費用が大幅に抑えられるタブレット型の機器も利用できるようにして、小規模自治体への普及を目指す。再搬送などに備え、複数の医療機関でデータ共有できるように改善した。

 急性心筋梗塞は患者が医療機関に到着後90分以内の治療開始が求められる。福井循環器病院の水野清雄副院長は「(送られた)心電図は病院と同じように鮮明だった。到着後すぐに治療が始められれば、患者にとって大きなメリット」と期待を寄せた。

 代表研究者で同大医学部の木村哲也准教授は「IT技術の進歩で安定したシステムができた。将来的には災害医療や在宅医療にも応用できる」と強調した。

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