一般相対性理論を解説しながらその魅力を語る芹生正史准教授=福井大文京キャンパス

 「一般相対性理論は恐ろしく美しく、人々の知的な好奇心を引きつけるものです」—。福井大大学院工学研究科の芹生正史准教授(理学博士)は国内でも指折りの同理論の研究者だ。ことしはアインシュタインが理論を発表してからちょうど100年。大学生の時に「自然界の物差し」の基準を定義する理論の魅力にとりつかれ研究を続けてきた芹生准教授は、壮大な物理学を身近な事象に例え、より多くの人に面白さを知ってもらいたいと話す。

 芹生准教授は京都大大学院を経て、インドやアメリカの研究所で活動。1996年から福井大で教べんを執っている。

 「一般相対性理論は、世の中の現象をほどよく短い数式で表現する。そのシンプルさは、まるで芸術のような美しさがある」と芹生准教授は目を輝かせる。質量そのものがエネルギーだとする有名な公式「E=mc2」などは「神や宗教を持ち出す気はないが、天の配剤ではないかと思わせる芸術性に感動する」とも。

 「子どものころ、自分が見ている物と他の人が見ている物が同じかどうか、不安になったことはありませんか。僕は、母が見ている他人の顔と僕が見ている顔が同じに見えるのかとても疑問だった」と語る芹生准教授。「まさに一般相対性理論を表している」という一編の詩を紹介してくれた。

 「(中略)言葉に記すと 世界はとたんに不確かになる 私の『青』 はあなたの『青』なのだろうか? あなたの『真実』は 私の『真実』?」(川崎洋「言葉」)

 これらの思いに応えてくれるのが同理論。▽いろいろな人や物があって、誰もが絶対的な存在ではない▽誰の目から見ても運動を支えている仕組みは同じ−といった自然界の物差しの基準を定義するもので、これにより▽光の速度は常に一定▽重力で光が曲がる▽宇宙が膨張している−ことなどが予測できるという。

 ことし2月、米大学などの国際実験チームが、同理論の中で存在を予言されていた「重力波」の観測に初めて成功した。100年もの時を経て、ようやく技術がアインシュタインの頭脳に追いついた形だ。

 芹生准教授は6〜7月、藤島高で「時空の旅人—一般相対性理論100年を祝って」と題する全3回の出前講義を実施している。要望があれば、一般対象にも行いたいという。「とてつもなく美しい理論である一方、何年勉強してもまだまだ分からないことばかりで、とても面白い。ぜひ多くの人に興味を持ってもらいたい」と話している。

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