今泉清さん

 選手、コーチとして40年間関わったラグビーの経験を生かし、組織のパフォーマンスを向上させる活動をしています。日本ではスポーツでも会社でも、とにかくトップが偉い。選手は試合に出るために監督が気に入るプレーをするから、同じプレーヤーばかりになってしまいます。これではトップの予想を超えたチームには絶対になりません。

 組織を率いるリーダーは、一人一人の個性や才能を理解し、最終目標「ゴール」の青写真を描かなければいけない。そのときに大切なのが、逆算の方程式です。ゴールと現状の間にはいくつもの障害があります。それを解消するには、今何に取り組まなければいけないのか。逆算して筋道を立てて計画することが必要です。

 これを実践したのが、昨年のラグビー・ワールドカップで南アフリカを下した、日本代表のエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチです。2015年9月19日に対戦が決まったとき、彼は「南アフリカに勝つ」と宣言しました。それから、勝つためにこんなことをやるという“登山道”を全員に理解させ、チームを強化しました。

 監督に質問するのは悪いことで、とりあえず「はい」と返事をする、というのが日本の考え。しかしエディーは自分の意図が伝わるまで選手と何度も話し合い、イメージを共有しました。こうした取り組みが、スポーツの現場で積極的に取り入れられています。話すことで考えが整理され、新たなひらめきも生まれます。これからはトップの指示を待つだけでなく、現場で話し合って「こうしよう」と動けるチームになることが求められます。

 福井では2年後に国体がありますよね。半世紀に1度しか回ってこないスポーツの祭典。まずは、国体が終わった後、どういう福井にしたいのかという青写真を描くことが大切です。後世にスポーツ文化を継承し、根付かせるためには何をしたらいいのか、皆で意見を出し合って考えてほしい。この機会に、福井県らしさが未来まで残るための青写真を創造してください。

 今泉清(いまいずみ きよし) 1967年生まれ、大分県出身。早稲田大時代に日本選手権で優勝。サントリーに加入し、日本代表に選出された。現在はアスリートの育成方法をビジネスに応用したプログラムを用いた人材、組織開発コンサルタントとして活動する。

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