4〜5年前から右目に涙がたまりやすくなり、2年ほど前から頻繁に涙がこぼれるようになりました。左目も右目ほどではありませんが時々涙が出ます。目やにがひどく、近所の眼科で処方された抗菌目薬を服用していますが、毎朝まぶたがくっついた状態になります。なぜか屋外にいる方が症状は穏やかで、特に夏場は和らぎます。専門的な治療を受けるべきでしょうか。(坂井市、69歳男性)

 【お答えします】田中波・福井大医学部眼科医員

■涙道障害、涙液の分泌過多が原因か

 涙は、分泌と排出のバランスを保ちながら角膜や結膜の表面に潤いを与え、酸素や栄養を供給し、眼を細菌などの感染から守っています。しかし今回のご相談のように、出すぎてしまうと流涙と呼ばれる困った症状となります。

 流涙の原因は大きく二つにわけられます。一つは涙の通り道が狭くなったり、ふさがったりすることで涙があふれ出る涙道障害です。涙は目頭にある涙点という入り口から涙小管という管に引き込まれ、涙嚢(るいのう)、鼻涙管を通って鼻腔(びこう)内に流れ出ていきます。この通り道が加齢により狭くなってしまうことが多いのですが、外傷や炎症、まれに腫瘍などが原因となることもあるので注意が必要です。

 涙の通りが悪くなると、細菌感染を伴って眼脂が出たりしますし、ひどい場合は涙嚢炎といって鼻の付け根が赤く腫れてしまうこともあります。診断としては涙道に水を通し、抵抗や逆流があるかで狭窄(きょうさく)の有無が判断できます。治療は、狭くなった管を拡張させ、チューブを留置して通過した状態を維持します。

 もう一つの原因は眼の表面の病気による涙液の分泌過多です。結膜炎、角膜炎、逆さまつげなど、角膜や結膜の障害が刺激となって涙が過剰に分泌されることがあります。

■ドライアイの可能性も

 また、忘れてはいけないものとしてドライアイがあります。流涙なのにドライアイとは矛盾したように聞こえるかもしれません。涙は悲しい時に出るだけではなく、実は常に分泌されていて眼の表面に涙の膜を作り、乾燥から目を守っています。

 涙の膜は水の層を油とムチンとよばれる層が挟んだ構造をしています。通常一度の瞬きで、約10秒間にわたり膜は維持されるのですが、加齢とともにムチンが失われると膜がすぐに壊れるようになります。こうなると目の表面は乾きやすくなる一方、過剰に分泌された涙は下眼瞼(がんけん)にたまり、流涙を訴えるようになるわけです。

 屋外や夏場は症状が和らぐとのことですが、屋内でのパソコンやテレビの視聴、読書で瞬きが減ると、涙の分泌が増えます。冬場の冷たい風も刺激になって涙が増えます。それらも重なって流涙の症状が顕著になるのかもしれません。

 流涙の原因はさまざまですが、しっかりと鑑別を行い、それぞれに合った治療を選択することで症状を改善させることができます。定期的に眼科を受診し、専門医の診断の下で治療を受けていただくことを強くお勧めします。

関連記事
あわせて読みたい