南越前町の夜叉ケ池(標高一○九九メートル)にのみ生息する絶滅危惧(きぐ)種ヤシャゲンゴロウを保護しようと二十二日、地元住民らが「ヤシャゲンゴロウを育てる会」を発足させた。同町宇津尾の今庄青少年育成センター「ときめき」で開かれた設立総会では、ヤシャゲンゴロウが安定して生存できる環境づくりなどを目標に事業計画を確認。住民、専門家、行政が協力し、希少種の保護に全力を注ぐ。

 育てる会は、ヤシャゲンゴロウが安定して生存できるよう、▽環境条件の確保・保全▽人工繁殖技術の確立▽地域の自主的な保護活動の展開—を目的に結成。元今庄中校長の奥野宏会長=今庄=をはじめ、地元住民ら二十五人が所属する。

 飼育場は、同センターに増設。屋内、屋外合わせて約五十平方メートルで、屋外飼育場には、成虫用の水槽三基を設置。池に近い環境で繁殖させるため、水は宇津尾谷から引いてある。冷房も設置し、池とほぼ同温の条件下で育てる。現在、七日に採取した二十匹のヤシャゲンゴロウと、生まれたばかりの幼虫を飼育している。

 会員は▽ヤシャゲンゴロウの生息状況調査▽池周辺の昆虫調査、捕食状況調査▽給水、エサやりなど人工増殖活動▽広報誌による普及啓発活動—などを役割分担して取り組む。

 設立総会には、会員十四人と、環境省中部地方環境事務所の所芳博・野生生物課長、同町の鈴木和男教育長、福井森林管理署の永井寛署長らが出席。奥野会長は「小さな命を見つめることは、大きな自然を守ることにつながる。ヤシャゲンゴロウを地球に残す協力をお願いしたい」とあいさつした。

 午後からは、育てる会に助言、指導を行う「ヤシャゲンゴロウ増殖事業検討会」を設立。福井大の佐々治寛之名誉教授や保科英人助教授ら専門家十二人が、増殖技術を確立するための技術や調査研究を進める。五年を目安に、生息状況の把握、人工繁殖やエサの研究、パトロール強化などを行う予定で、育てる会と連携して保護活動に取り組む。

 ヤシャゲンゴロウは、コウチュウ目ゲンゴロウ科の生物。体長一五ミリほど。近年、入山者の増加による自然環境の悪化などが影響し、個体数は減少傾向にある。

関連記事
あわせて読みたい