運転延長が認められた(右から)高浜1、2号機=福井県高浜町田ノ浦の高浜原発

 運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機の運転延長が認められた20日、福井県福井市と敦賀市の街頭では「古い原発を使い続けるのは不安」などと、安全性に懸念を抱く市民の声が多く聞かれた。一方で「現実的には原発に頼らざるを得ない」と地元経済活性化の観点から運転延長に理解を示す意見や、「賛成か反対か、単純に言い切れない」と苦悩の声もあった。

 福井市内に映画を見に来た福井県大野市の学生、黒野滉さん(21)は「日本の原発は何が起きても絶対に大丈夫と言われてきたのに、福島第1原発事故でその神話も崩れ去った。国は信用できない」と話す。友人の自動車整備士、前川大夢(たいむ)さん(21)も自らの仕事に照らし「古いものをどれだけメンテナンスしたところで、結局は新しいものよりも劣る」と不安を隠さない。

 子どもを連れて帰宅途中だった敦賀市の主婦、寺田杏奈さん(27)は「古い原発が大丈夫なのか少し不安。原発は生まれた時からそばにあったし、嶺南は自然災害も少なかったから、再稼働に抵抗はない。審査を十分にして安全を期してほしい」と話した。

 一方で、敦賀市の児童福祉施設事務員、山本裕子さん(43)は「新しい原発の建設が難しいからこそ、基準をクリアしたなら、古い原発を生かすべき」と話す。知り合いの中には、家族が原発関連の仕事をする人も多いといい、「原発は雇用の場という感覚。原発の代替エネルギーも乏しく、現実的には原発に頼らざるを得ない」と考える。

 公園で子どもと遊んでいた福井市の主婦、白川多佳子さん(42)は「正直、運転延長に賛成したくはないけど、原発で働く人や周りの住民のことを考えると、どちらがよいのか分からない」と話す。敦賀市で鮮魚店を営む辻正則さん(65)も「賛成か反対か、単純に言い切れない」とし、「日本のあちこちで地震が起きて、福井でもと思うと心配だが、地元の生活だったり、商売だったり、日本全体のことを考えると、安定した電力供給は必要。安全であればいいと思うしかない」と言い聞かせるように話した。

 福井市の教員、加畑久美子さん(37)は嶺南に赴任した経験があり、嶺北と原発との向き合い方の違いを大きく感じたという。今後の再稼働に対して「反対、賛成と考えを押し付けるのではなく、自分たちで考え、選べるような情報が必要」とした。

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