GHQが「呂500」を海没処分したとされる位置

 第2次大戦中、技術交流の一環としてドイツから譲渡され、戦後に処分されて海底に沈んだ旧日本海軍の潜水艦「呂500」の探索を、九州工業大学(福岡県北九州市)などでつくる調査チームが若狭湾で始める。

 調査チームによると、呂500はナチス・ドイツの潜水艦Uボートで、全長は約76メートル。1943年に広島・呉港に入港後、練習艦として使われたが、終戦後の1946年4月に連合国軍総司令部(GHQ)が技術漏えいの防止などを理由に若狭湾で処分したという。天候が良ければ6月18日から探索を開始し、21日までの予定で実施する。

 同チームは米軍の記録や、沈没船の目撃情報などを基に、音波を用いて海底を調査。船体の影が見つかれば、遠隔式の無人潜水機で撮影し、確認を進める。

 若狭湾一帯では、福井県越前町の沖合約30キロの海底に正体不明の沈没船があることが県水産試験場の調査で判明している。越前町漁協によると、「浦島礁」と呼ばれる越前がにの漁場も、沈没船がある可能性が漁師の間で指摘されている。

 メンバーの浦環・九州工業大特別教授は「戦争の象徴である兵器の実物を見つけることで、戦争とは何だったのか、世間に問いかけたい」と意義を説明する。探索に当たり調査チームから事前に相談を受けていた同漁協の小倉孝義専務は「魚礁のようなものが沈んでいると言われている場所は何カ所かある。それが何かはっきり分かれば安心できるし、正体を解明してもらいたい」と期待を寄せている。

 調査チームは昨年にも、長崎県・五島列島沖に沈められた潜水艦24隻の位置と艦名を特定したと発表。その中には、広島に落とされた原爆の部品を運んだ米重巡洋艦「インディアナポリス」を沈めた「伊58」も含まれていたとしている。

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