福井県立大学の次期中期目標・計画の骨子案を説明する進士五十八学長(右)=6月15日、福井県庁

 少子化で18歳人口が減少する中、福井県立大学が複数の学部・学科を新設して定員を増やす「開学以来の大変革」(福井県幹部)に乗り出す。背景には、大学に進む県内高校生の7割が県外に流出する現状を改善しなければ、福井の将来を担う人材が不足するという危機感がある。今後は新たな学部・学科の魅力や卒業後の進路の見通しを示し、高校生らのニーズを満たせるかが課題となる。

 県内に六つある大学の定員は県立大375人、福井大学855人、福井工業大学500人、仁愛大学315人、敦賀市立看護大学50人、福井医療大学180人の計2275人。県大学・私学振興課によると、県内の高校を卒業し2017年春に大学へ進んだ学生は4092人で、そのうち県内の6大学を選んだ学生は31%の1283人にとどまった。

 県が今年3月に県内の高校2年生を対象に行った初の調査では、生徒の75%が県外進学を希望。そのうち32%が理由を「県内に希望する学部・学科がない」と回答した。

 県立大の前田洋一事務局長は「18歳人口が減る中、国立大学法人の福井大は定員増を伴う学部の見直しができず、私立大も定員を割ると国からの交付金を削られるため定員増や学部新設に踏み切りにくい」と指摘する。

 県立大の18年度予算で収入の65%に当たる約25億円が県からの運営費交付金。新学部・学科の施設整備や教員増で交付金はさらに膨らむが、前田事務局長は「県が設置する県立大が県内高校生の受け皿となる必要がある」として新学部・学科による定員増の必要性を力説する。

 新設を目指す学部・学科のうち恐竜をメインとする学部は全国に例がなく、進士五十八学長は「県立大をアピールするシンボル」と位置付ける。古生物学と、水月湖(同県若狭町)の年縞(ねんこう)を研究材料とした古気候学により、「気候変動のメカニズムを解明する、世界を相手にする拠点」(進士学長)を目指す。

 ただ“恐竜学部”の卒業後の進路で例に挙げる学芸員は働き口が少なく、高校生にとって魅力的かは未知数だ。

 地域経済の新学部は、県内高校2年生の調査で経済学・商学分野に進学を希望する生徒が最も多かったことから、ニーズに合う可能性がある。一方、調査で農学関係を志望する生徒は少なく、食農環境創造学科(仮称)と海洋生物資源学部の新学科は、既存学科との違いなど特色をどう打ち出すかが問われる。

 学内で新学部・学科の検討を本格的に始めてからはまだ1年で、カリキュラムの具体化はこれから。進士学長は20年4月の新設を目指す食農環境創造学科以外の学部・学科も21年度内までに構想を固めたいとし「東京や大阪の大学に進むより絶対に良いという魅力付けをし、将来は定員を倍増させて地域社会にさらに貢献したい」と意欲を語った。

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