養蚕農家で白く柔らかな光沢を放つ繭=6月14日、福井県福井市足谷町

 福井県内唯一の養蚕農家、福井市足谷町の杉本脩さん(86)方で、今年の繭の生産が始まった。約2万7千匹の蚕がサナギになろうと一斉に糸を吐き出し、うっすらと玉状になった繭が純白の光沢を放っている。

 「玉小石」と呼ばれる種類の蚕からできる絹糸は、少量ながら、細くてしなやかなのが特長。5月に幼虫を仕入れ、畑で採ったクワの葉を与えて飼育。体長8センチ程度に育ったのを見計らい、6月13日に繭作りの土台となる網状のトレーに移された。

 約1週間かけ、すべての蚕がサナギとなり、繭に身を包む。蚕1匹で作る落花生のような形の「単繭(たんけん)」と、2匹で一つを作る「玉繭(たままゆ)」の2種類ができ、県外の業者に出荷。特に糸が複雑に絡んだ玉繭は、だまができやすい独特の風合いが伝統織物に重宝される。

 妻の百合子さん(78)は14日、「今年も出来栄えが気になるね」と話し、せっせと糸を吐く蚕を優しく見守っていた。今年の生産は2回。農閑期を選んで行っており、次は9月に作業する。

 
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