「震災関連死にはまだまだ対策の余地がある」と話す福井大医学部の山村修講師=福井県永平寺町の同大松岡キャンパス

 熊本地震では、避難生活で体調を崩すなどした震災関連死が疑われる事例も増えている。熊本県阿蘇市などで全国から集まる医療救護班の調整やエコノミークラス症候群につながる血栓の検診に当たった福井大医学部地域医療推進講座の山村修講師(47)は、人が密集する避難所の環境が震災関連死の一因と指摘し、改善の必要性を訴える。

 —震災関連死を防ぐには。

 自宅がそれほど被害を受けていなくても、余震の恐怖などから避難所や車で生活する人が目立った。避難所に人が密集すると感染症流行の危険性は高まる。一人一人のスペースが狭ければ、高齢者のADL(日常生活動作)が少なくなり、寝たきりが増える悪循環になる。阿蘇市では運営する行政職員が足りずに建物はあっても避難所を拡大できなかった。

 福井県でも現在指定されている避難所の最大収容人数や職員の配置予定を確認し、必要なら開設数を増やして、避難者のスペースを広げてほしい。行政に依存しない住民による避難所の自主運営も必要だ。自治会レベルで自主運営のマニュアルを作り、実際に運営訓練を行っている地域もあるが、本腰を入れなければならない。

 —エコノミークラス症候群の患者も増えている。

 血栓の検診した中には車で16連泊している人がいた。検診の結果も予想以上に悪かった。避難者の健康相談などに当たる保健師の大量動員が必要だと感じたが、自治体にはその余裕がない。今回も医師、看護師のDMAT(災害時派遣医療チーム)は発生直後から活動していたが、DMATのような組織を、保健師にも早期に整備すべきだ。

 余震が続いた熊本の状況を見て、今後の地震災害では車で避難生活を送る人が増える可能性がある。行政が把握できないと、支援が届かない恐れが出てくる。避難所に物資を受け取りに来た時に、車中泊の避難者を登録するような態勢も求められる。

 —災害弱者への対応は。

 阿蘇市では現在、1人暮らしの高齢者の自宅に物資が届かず、それほど状況が悪くなくても福祉施設に収容される例が増えている。もともとぎりぎりのスタッフで運営している施設に多くの高齢者が集まり、介護福祉士らの疲弊、不足が深刻になっている。高齢者にとってもケアが行き届かずに、寝たきりになる恐れもある。介護福祉士にも組織的な支援が必要だ。

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