デュラム小麦と「ふくこむぎ」を交配した雑種を手にする村井耕二教授=福井市内

 国内で生産されていないパスタの原料のデュラム小麦を、福井県内で栽培可能にするための品種開発に福井県立大生物資源学部の村井耕二教授が取り組んでいる。県内での栽培に適した小麦と外国産を掛け合わせる“第1段階”の交配に成功し、今後はデュラム小麦の性質をさらに強める交配に挑む。村井教授は「5年以内をめどに新品種登録を申請したい」と話している。

 日本の食卓におなじみとなったパスタだが、デュラム小麦の国内自給率は0%。国内で栽培すると6月の長雨で病害が発生したり、雨の重みで倒れたりして収穫できなくなる。県立大はこれまでに村井教授が中心となって梅雨前に収穫でき、草丈が低い早生(わせ)品種「福井県大3号」(ふくこむぎ)を開発。2012年に品種登録された。ふくこむぎはパンや麺類、ケーキなどの材料に適している。

 村井教授はふくこむぎの性質を利用しようと14年に外国産のデュラム小麦と交配し、採種できたわずか4粒の種子から雑種を生育。デュラム小麦の中でも比較的早生で草丈が低い系統とさらに交配し、採種した68粒から育てた雑種が現在、県立大の実験農場で穂を付けている。

 今後は県内の環境に適した個体を選抜し、デュラム小麦の性質を強める交配を続けていく。新品種の完成までにあと2年、品種登録の申請に必要なデータ採取にさらに3年かかる見通しだという。
 村井教授は「県立大から全国に発信する国産デュラム小麦のパスタを実現したい。実験農場にはいい雑種が育っているので現実性は高い」と話している。

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 【デュラム小麦】主に欧州、米国、カナダで生産されている。生育が遅い晩生(おくて)品種で、日本では梅雨の長雨による品質劣化や病害、倒伏が発生するため生産されていない。一般的な小麦に比べると種子が硬く、パスタはデュラム小麦を粗びきした小麦粉「セモリナ」で作られる。

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