福井市の田原町駅での相互乗り入れ

 福井県のえちぜん鉄道と福井鉄道が3月末に福井市から越前市で運行開始した相互乗り入れ便の1カ月の利用状況まとめによると、三国芦原線の鷲塚針原(福井市)−福武線の越前武生(越前市)の利用者数は約1万900人(共通1日フリー切符購入者除く)で、同区間の乗客は乗り換えが必要だった昨年同期の約3倍に増えた。福井県が各種切符の売り上げ枚数から利用者数を推計し、9日発表した。

 丹南方面から福井商高や啓新高へ通いやすくなったため、通学定期券の販売も4倍超の約100枚と好調な滑り出しとなった。

 直通便の運行は3月27日に始まった。異なる事業者の鉄道と路面電車の直通は全国初だったことに加え、えち鉄の次世代型低床車両「キーボ」も注目を集め、全国から鉄道ファンや家族連れが殺到した。「一度乗ってみよう」というムードと、花見や越前時代行列などの催しが重なったことも数字を押し上げた。

 4月26日までの1カ月で販売された乗車券の内訳は、乗り換えより割安な「連絡乗車券」が2544枚で、昨年同期を1871枚上回った。定期券は120枚で昨年同期より78枚増え、このうち通学定期は23枚から99枚になった。回数券は77枚でほぼ倍増だった。

 えち鉄、福鉄の全区間を乗り放題で利用できる共通1日フリー切符の販売枚数も大幅に伸びた。取り扱う土日の数が異なる昨年と単純に比較できないが、5倍強にあたる約930人が購入した。そのうち3月27日の運行開始初日に429枚が売れた。

 利用者の殺到で運行開始当初は10分以上の遅れが出ることもあったため、福鉄は解決策として福井市中心部の路面停留場やイベント時などに混み合う無人駅へ臨機応変に人員を配置し、スムーズな運賃の受け取りや乗客の誘導を図っている。県交通まちづくり課は「両事業者の地道な努力が実を結び、多客によるダイヤの乱れはほぼ解消された。安心感が利用者増につながっている」と分析している。

 同課の猪嶋宏記課長は「この1カ月で、異なる生活圏へ気軽に移動できる直通便の使いやすさを多くの人に実感してもらえた。リピーターとしていかに定着してもらうかが大事になる」と話す。

 その上で、通勤定期券の販売枚数が伸び悩んでいる点を「伸びしろ」に挙げ、「両事業者と行政の連携を強化し、パーク・アンド・ライド駐車場のPRなどで潜在需要を掘り起こしていきたい」としている。


 ☆えち鉄、福鉄 相互乗り入れ☆

 えちぜん鉄道三国芦原線と福井鉄道福武線の急行、普通列車が鷲塚針原(福井市)−越前武生(越前市)の26・9キロに乗り入れる事業。
 午前6〜9時は福大前西福井(福井市)−越前武生で普通列車を上下各2本、午前9時台〜午後6時台は鷲塚針原—越前武生で急行列車を毎時上下各1本運行している。急行の場合、所要時間は鷲塚針原−越前武生が約80分から約60分に短縮された。事業費は国と県、福井市を合わせ約26億円。

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