野々村仁清の「色絵牛図茶壺」(福井県立美術館提供)

 江戸時代の名陶工、野々村仁清(にんせい)作の「色絵牛図茶壺(いろえうしずちゃつぼ)」を展示している福井市の県立美術館で7日、日本陶磁史が専門の荒川正明学習院大教授による講演会「仁清と京焼の美」が開かれた。荒川教授は「江戸時代に始まった装飾芸術の焼き物を代表する名工は仁清だと言える。皆さんは展覧会に一度も出されたことがない画期的な作品を目にしている」と寄贈品の価値や仁清の魅力を話した。

 牛図茶壺は17世紀後半の作品で高さ約24センチ、直径は最大20センチ。図版でしか存在は知られていなかった。所蔵していた越前市出身の女性ら家族が、古里の文化発展に役立ててもらいたいと同美術館に寄贈した。

 荒川教授は今年3月に茶壺を見て「雰囲気やたたずまいから仁清作に間違いないと確信した。(寄贈は)奇跡のようだ」と“幻の壺”が広く展示されることを喜んだ。

 寄贈品を含め、仁清の手による著名な茶壺は12点あり「仁清の色絵茶壺は日本の陶磁史において最高峰に位置する」と紹介。絵柄は草花などが多い中、牛が描かれているのは珍しいと解説した。訪れた美術ファンは興味深そうに聴き入っていた。

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