戦後福井の文壇の礎を築いた詩人の故則武三雄さん(水谷内健次さん撮影)

 戦後福井の文壇の礎を築いた詩人、則武三雄(のりたけ・かずお)さん(1909〜90年)。自宅を開放して文学拠点となる「北荘文庫」を創設し、数多くの著名な詩人を育てた。亡くなるまでの34年間を過ごした福井市円山地区にある円山公民館などで8日から、ゆかりの福井県内文人らが人柄や功績を語る「ふるさと学級」(福井新聞社後援)が始まる。

 則武さんは鳥取県米子市の生まれ。朝鮮に渡って総督府嘱託となり、機関誌出版に携わるなど文学関係者と交流。そこで生涯の師、三好達治氏に出合った。終戦とともに帰国し、三好氏の誘いで37歳で三国に移住。後に福井市宝永地区に自宅を構え、51年に北荘文庫を創設、本格的な出版活動を行うようになった。

 当時の福井は、脈々と続いてきた詩や文学の流れが戦争の影響で断絶。朝鮮時代に詩集を出版し、中央の文壇にも明るかった則武さんの元には若い村人が日参した。後に「則武学校」と呼ばれ、戦後福井の文学の拠点となった。

 47歳で円山地区に移り、晩年まで過ごした。地元大東中の校歌を作詞するなど、同地区との結びつきは強い。円山公民館は「文学記念コーナー」を常設。直筆の詩稿やペン、すずりなど貴重な品々を飾り、偉功を称えている。

 ふるさと学級は「NPO農と地域のふれあいネットワーク」などが企画。没後四半世紀を経た今、地方主義を旗印にした文学精神を広く知ってもらおうと、県詩人懇話会の協力を得て計4回開く。

 各日午前10時から、県ふるさと文学館(福井市)を学芸員の解説で見学。円山公民館に移動し、同11時半から講話を聞く。8日は藤井則行さんの「文人“則武三雄”の魅力」。藤井さんは則武さんの指導を受けて同人誌「果実」を発行。最初の詩集を北荘文庫から出版している。

 6月12日は稲木信夫さんの「わたしの心の則武三雄」。稲木さんは、中野重治の妹で則武さんと同時代を生きた詩人、中野鈴子に造詣が深い。

 10月10日は川上明日夫さんの「詩人 則武三雄論」。川上さんは同人誌「木立ち」創刊メンバーで、則武さんの直系の門下生にあたる。

 11月13日は文芸評論家の渡辺喜一郎さんの「則武三雄の文学的出発」。渡辺さんは、則武さんの朝鮮時代からの足跡を系統的に研究している。

 昼食後、午後1時半からは則武さんと親交が深かった日本文芸家協会会員の増永迪男さん(82)をコーディネーターに迎え、対談形式でテーマをより深める。増永さんは「則武さんは心に響く叙情詩を数多くつくった。これらを学び、自らの心と向き合い表現する際の手本としてほしい」としている。

 参加は無料(昼食代600円が必要)。申し込み用紙を円山公民館へ持参するか、郵便、ファクス、メールで申し込む。〒918—8212、福井市北今泉町7の12、円山公民館=電話0776(54)0048(ファクス兼用)、メールenzan−k@mx1.fctv.ne.jp

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