福井県内初の「ABO血液型不適合腎移植」に携わった伊藤准教授(左)と糟野准教授=福井大医学部附属病院

腎移植における血液の組み合わせ

 福井大医学部附属病院がこのほど、血液型が異なる提供者(ドナー)と患者(レシピエント)間で行い、脾臓(ひぞう)摘出を伴わない「ABO血液型不適合腎移植」に福井県内で初めて成功した。県内でも全ての血液型の組み合わせで腎移植が可能となり、ニーズが高まっている夫婦間腎移植などにも幅広く応えられるようになった。

 ドナーとレシピエントの血液型が異なる場合、各血液型が持つ抗体によって両者の組み合わせは「不一致」「不適合」に区別される。「不一致」の移植方法は血液型が一致している場合とほとんど変わらない。一方「不適合」は激しい拒絶反応が起こる可能性があり、患者にかかる負担が大きいとされる。

 このため「不適合」での腎移植はこれまで術前に脾臓の摘出が必要だったが、拒絶反応を抑える製剤「リツキシマブ」の登場によって、摘出しなくても移植が可能になり、腎臓の生着率も向上した。しかし、リツキシマブの腎移植に対する保険適用が長く認められなかったことなどから、同病院の生体腎移植は「一致」「不一致」に限っていた。そのため、血液型不適合腎移植を希望する患者には県外の先行病院を紹介してきた。

 2014年、腎移植を希望する父子が不適合の組み合わせだったことが、同病院が不適合腎移植に取り組む契機になった。40代の患者は末期の腎不全の状態で、県内での移植を希望していた。術前検査で早期の胃がんも見つかったため、腹腔鏡下手術をして再発がないことを確認する間、病院側はリツキシマブの保険適用外使用などについて、学内の倫理審査委員会や薬事委員会の承認を受けた(現在、腎移植におけるリツキシマブの保険適用は認められている)。

 腎臓内科の糟野(かすの)健司准教授(49)をはじめ、看護師ら計7人でチームを組み、県外の先行病院での勉強や、科を超えての合同会議など準備を進め、今年1月に移植を成功させた。患者の状態は良好で、糟野准教授は「準備や見学を通し、透析の機械の設定やケアの仕方など論文に載っていないノウハウも学ぶことができた」と話す。

 執刀した泌尿器科の伊藤秀明准教授(47)は「腎臓内科がセットアップしてくれたおかげ。今後も協力体制を継続したい」と話している。

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