「今後も小説を書いて生きていきたい」と抱負を話す宮下奈都さん=1日、福井市の福井新聞社・風の森ホール

 小説「羊と鋼の森」が2016年本屋大賞に選ばれた福井市在住の作家、宮下奈都さんの受賞記念トークショー(福井新聞社主催、文芸春秋協賛)は1日、福井新聞社・風の森ホールで開かれた。宮下さんは受賞作について「書き切ったという満足感が高い作品。大きな賞をいただけたのは皆さんに支えてもらったおかげ」と大勢のファンを前に喜びを話した。

 受賞作は第154回直木賞にもノミネートされた。北海道の山あいで育った青年がピアノの調律師として成長していく姿を描いている。着想について宮下さんは、13年から1年間北海道で暮らしたことが基になっていると紹介。「言葉にできないような、本当に景色のいい所だった」といい、その景色を言い表すのに、同様に言葉で表現しにくい音楽と結び付けることで「すごいことが書けるのではないかと思ったら、小説の輪郭が見えてきた」と話した。

 「日々普通に生活している人を書きたいと思っている。地道に生きていて、ふと報われる瞬間を書けたらいい」と調律師を主人公にした理由を話し「ピアノが題材なら、裏方で支える調律師を書くのが私の喜びでもあり、それが結実した」と作品への思いを語った。

 青年の成長する姿を書きながら「こつこつ努力する主人公に私自身が励まされているようなときがあった」と執筆中の秘話も披露した。

 今後も「小説を書いて生きていきたい。小説を書く喜びは他には代えられない」と結んだ。

 以前からファンだったという福井市の教員、嶋本享恵(きよえ)さん(49)は「言葉を大切にしていることがトークからも伝わってきた。作家として言葉に向き合う姿がすてきですね」と話していた。

関連記事
あわせて読みたい