「御食国若狭と鯖街道」が日本遺産に認定され、くす玉を割り祝う関係者ら=2015年4月24日、福井県小浜市のいづみ町商店街

 福井県の小浜市と若狭町にまたがる鯖街道を中心とする「御食国若狭と鯖街道」が、日本遺産に認定され、24日で1年。第1弾の認定は全国で18カ所だったため、両市町はガイドブックを作成するなど浸透を図っているが、成果は十分に表れていない。2015年4〜12月の両市町の観光入り込み者数は約287万5千人で、前年同期と比べ増加率は10%未満にとどまっている。近く認定される第2弾の発表を前に、関係者は危機感を募らせる。

 ■ガイドブック発行

 日本遺産を活用し誘客拡大を図るため、両市町は認定後の7月、行政や各種団体で「小浜市・若狭町日本遺産活用推進協議会」を立ち上げた。

 同会は文化庁の補助金約3500万円を活用し、情報発信や人材育成事業に着手。ガイドブックやパンフレットを発行し、啓発活動を行う「語り部」のユニホームやテキストを用意した。

 まず地元から魅力を発信しようと両市町は、小中学校など33カ所で出前講座を実施。子どもたちに「鯖街道が京都や奈良をはじめとする日本の文化を支えた」ことなど“郷土の誇り”を伝えた。

 鯖街道最大の宿場町だった熊川宿を拠点に、鯖街道の復活や価値の調査顕彰、交流産業の推進を話し合う「国際シンポジウム」を今年3月に開催した。

 ■成果いまひとつ…

 「成果はまだ不十分」。日本遺産のアピールに取り組んできた小浜市商工観光課の下仲隆浩さん(46)、若狭町政策推進課の石倉文晴さん(39)とも口をそろえる。

 国の補助金は、用途が限られているのも足かせ。案内板やトイレの設置、観光ガイドの育成などに限られ、他の日本遺産と差別化を図ることが難しいという。両市町は日本遺産PRの予算付けをしておらず、市民団体による広報活動や活用に頼らざるを得ない状態だ。

 さらに日本遺産は「ストーリー」を認定する制度のため、建物などの拠点は必ずしも必要ではない。下仲さんは「小浜は熊川宿のような目に見えるスポットがない。鯖街道といっても、どこへ行ったらいいか分からない観光客は多いはず」ときっかけづくりに頭を抱える。

 5月1日には、小浜市が掲げる3駅構想の一つ「まちの駅」(同市白鬚)がオープンする。駅は鯖街道の起点の「いづみ町商店街」の目の前。明治期の芝居小屋「旭座」が移築復元される。下仲さんは「市指定文化財の中で日本遺産に含まれる能楽などが見られるのが売り」と期待を込めるが、鯖街道を絡めた催しが継続して開催できるかは未知数だ。

 ■第2弾を前に

 文化庁は4月12日、日本遺産第2弾の公募を締め切った。4月中に約20件が新たに認定を受ける。

 第1弾組は、広報や活用を続けなければ、印象度が下がることは必至。それでも「先発の強みはある」と下仲さんは前を見据える。

 同市は本年度から、田烏沖で「マサバ」の養殖に乗り出すなど「目に見える事業」に本腰を入れる。観光客に「サバの刺し身」という付加価値を提供し、誘客拡大を狙う。秋ごろには、同市川崎地区の「うみの駅」エリアで「全国サバサミット」を開く予定。両市町の取り組みやサバ料理を、全国に発信する。

 「サバの復活が一番分かりやすいはず」と期待を込める下仲さん。同市のまちの駅や、リニューアルした若狭町の道の駅熊川宿を拠点として前面に押し出し、薄れる先発の“プレミア感”をカバーする。

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