東京・恵比寿で見つけた「福井」

東京にだって、あったかいひと、たくさんいたよ。

 コラム掲載に先立ちまして、
 今回の熊本地震で被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。
 まだまだ余震が続いているようです。心安らげる日々が少しでも早く訪れますようお祈り申し上げます。

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 東京からも、このゆるパブコラムを見てくれてる人っているのかな?

 私が福井に初めて行くきっかけとなった、福井県鯖江市の体験移住事業「ゆるい移住」。半年間の期間限定で鯖江市に住むっていうプロジェクトだったんだけど、これが3月末で終了しました。
 ので、私、もう福井にいません(笑)
 が、東京に帰ってきてからも、福井のあれこれを感じることがあるので、今日はそんなお話。

 半年も住んだ福井にはめちゃくちゃ愛着が湧いてるし、帰ってきてからも、いちいち「福井」ってワードに反応してる毎日。
 そんな風にしてると、東京で外を歩いてても、ふと気づくと福井に関係のあるお店の前にいたりして。
 越前そばやソースカツ丼が食べられるお店や、アンテナショップ、福井の農家さんが出店しているマルシェ、福井の物産展…。
 この前まで当たり前のように身近にあったものが、こんなにもありがたく、そして懐かしく感じるなんて思ってもみなかった。

 福井では当たり前に食べられるもの、買えるものが、東京ではすごく珍しくて、ありがたいものとして存在している。
 そして、それに喜びを感じる都会の人間が存在する。
 福井の人にとっては当たり前のものも、実はとっても貴重だったりするんだよ。
 そのことを福井の人が知ってくれて、もっと福井に愛着をもってくれるといいなって思う。

 それから、こんな体験もした。
 福井から帰ってくるとき、半年分の荷物を詰め込んで、おっきなスーツケース2つとバッグを抱えていて、とんでもない格好で東京駅を歩いていたのね。

 福井は人があったかかったなあ。
 知らない人でも挨拶してくれるし、声かけてくれるし。
 だけど、ここは東京で、みんな自分の時間と役割がある。
 知らない人がナンパとキャッチ以外で声をかけてくることはまずない街。
 荷物重すぎるけど、家まで1人で頑張るしかないなあ。

 なんてぼんやり思ってたら、エレベーターを待ってるおばあちゃん2人と高校生くらいのお孫さんが目に入った。
 私が到着する前にエレベーターのドアが開いたから、荷物も多いし待たせちゃうし、先に行ってもらおうと思ったら、
 「慌てなくていいから、一緒に乗りましょう」っておばあちゃんがまだちょっと離れたところにいる私に声かけてくれたの。
 しかもお孫さんのほうは、わざわざこっちまでやってきて、荷物をもってくれるっていうものすごい優しさ。
 お言葉に甘えてエレベーターだけご一緒させてもらおうと思ったんだけど、降りてお礼を言ったら、
 「どうせだから、電車乗るまで一緒に行きましょう。どうせ最後にお礼言うんだから、最後まで甘えちゃいなさいよ。」っておばあちゃんは言って、お孫さんは電車に乗るまでずっと荷物を持ってくれました。
 電車の席まで探して座らせてくれて、最後まで人への気遣いが半端じゃないご家族だった。

 「困っている人を見かけたら、今度はあなたが同じように誰かに親切にしてあげたらいいのよ。」
 と言っていたおばあちゃん。
 まだ誰にもしてあげられていないんだけど、その言葉、絶対忘れないようにしよう。

 駅から家までも、途中、「大荷物ね、どこに行ってきたの?」なんて声をかけられて、何人かの知らない人とおしゃべりしちゃった。

 福井は人があたたかい、東京は冷たい人が多い。
 そんな風に、場所だけで人の性質を決めつけていた自分がすごく恥ずかしくなった。
 福井にだって冷たい人がいるのと同じように、東京にだってあったかい人はたくさんいる。
 都会でだって、関わろうと思ったら、知らない人とだって、一瞬ではあるけれど心を通わせたり、相手を思いやったりすることができるんだよね。
 見つけようと思ったら、福井だって東京だって、いいところは同じくらいたくさんあるんだよね。

 「都会はやだ、田舎に行きたい」と思う人、「田舎はやだ、都会に行きたい」と思う人、どちらも一旦立ち止まって、その理由を考えてみたらどうだろう。
 私は田舎で生まれ育って、高校を卒業してから東京に出てきて、やっぱり田舎より都会がいいなって思いながら数年間過ごしてきた。
 だけど久しぶりに福井のような田舎で過ごしてみて、田舎の良さも身にしみたし、田舎にもいいところがたくさんあるなあって思った。
 そしたら、私が都会がいいって思ってたのって、実は大した理由なんてなくて、なんとなく都会ってものはいい、って勝手に思い込んでただけのように思えてきたんだよね。
 改めてどちらも体験した私が今思うことは、どちらにもいいところ、悪いところはあるってこと。
 そして、今いるところでだって、田舎の良さ、都会の良さ、探してみたらどちらも意外とあるよってこと。

 福井に帰りたい、または移住したいけど、どうしても都会から離れられないという人。
 あなたの身近なところにも、福井の素敵なものが転がっているかもしれません。

 逆に、都会に出たい、福井はうんざりって思っている地元の人。
 よーく見てみたら、福井にもいいところはたくさんあるし、これって都会よりも素敵かもって思えることも見つかるはず。

 まずは今いる場所で、素敵だなって思えることをたくさん探したいなと改めて感じています。(ゆるパブメンバー、しおりんこと江戸しおり)

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 福井の若者や学生、公務員、起業家、経営者、研究者などがゆるくつながり活動する一般社団法人ゆるパブリック(略称:ゆるパブ、2015年福井に設立)が、さまざまな視点から福井のまちの「パブリック」に迫ります。2016年3月まで鯖江市に「ゆるい移住」していた江戸しおりさんを中心に執筆中。

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