クロスジヘビトンボの新種「カクレクロスジヘビトンボ」の雄の標本

 福井市の昆虫研究家、下野谷豊一さん(75)が20年以上前に福井県あわら市内で採集した水生昆虫「クロスジヘビトンボ」が新種だったことが分かった。福井市自然史博物館によると、羽を広げると約10センチにもなる大型昆虫の部類で新種が見つかるのは珍しいという。標本は16日から同博物館で特別展示される。

 新種は下野谷さんが和名を「カクレクロスジヘビトンボ」とし、同博物館研究報告の最新号(昨年12月発行)に論文を発表した。

 下野谷さんは1994年5月、旧金津町の田んぼの水辺で夜間の調査活動中にオスの2匹が飛んできたところを網で捕まえた。その時点では新種とは確認できなかったが「既存種とは違うのではないか」との思いがあったという。

 その後メスの採集にも成功し、幼虫を含めて分析。本州に生息し、県内でも見られるクロスジヘビトンボの既存の2種とは羽の黒い模様に違いが見られるほか、生殖器の形状が異なっていた。幼虫の呼吸管の長さも既存種より長いことが分かった。これらの点から新種と結論づけた。

 夜間に光に集まる習性を持つ昆虫は多いが、新種は暗闇でしか動かず、明るい所を避ける特性があるという。これまで確認されてこなかったのは「暗闇で生息し、見つけにくかったからではないか」(下野谷さん)という。

 下野谷さんはほかの研究も並行して進めていて、体調を崩したこともあったため、発表まで時間を要したが「新種は生態などまだまだ分からないことが多い。論文発表を機に研究が進めばうれしい」と話している。

 特別展示は5月22日まで。

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