雨が降った翌日、茶色く濁った浴槽につかる佐々木さん。「きょうの濁りはたいしたことない」という=4月8日、福井市東河原町

 水道の老朽化が福井県内でも進んでいる。福井市美山地区の東河原町の簡易水道(給水人口5千人以下)は激しい雨の日には濁るため、市に対し、原因調査や新たな水源地の確保などを求めているが、解決には至っていない。簡易水道の再整備には、上水道(同5001人以上)にはない地元負担が生じる。一方、水道料金は市町村合併の影響で数倍に跳ね上がった。60代以上が大半を占める超高齢化の集落の住民からは「不公平では」との声が上がっている。

■まるで温泉■

 山沿いの集落、東河原町の人口は約60人。このうち60代以上は約7割を占め、30代以下は9人のみ。26戸のうち7戸は空き家だ。

 集落の飲料水をまかなう簡易水道は、1950年代に整備されたもので、法定耐用年数の40年を大幅に超えている。水源は集落の背にある山の中腹だ。

 ここ数年は、激しい雨が降ると、水道水が茶色く濁るようになった。集落の佐々木龍博さん(63)は「浴槽につかると、足先は見えない。まるで温泉場」。こんなときのために、飲料水として、常に1リットルのペットボトル10本が冷蔵庫に入っている。

 昨年11月の大雨の時には、市の担当者がきれいな水を入れた20リットルのタンクを各世帯に二つずつ行き渡るように、集落の住民センターに持ってきた。しかし半数近くのタンクは残ったままだった。佐々木さんは「高齢者は重いタンクを自宅まで運べないし、家にあっても持ち上げられない」と理由を打ち明ける。

■3回の要望■

 集落の住民は2011年3月以降3回にわたって東村新一市長に「簡易水道の汚濁防止」を文書で要望。「昔のように生水をゴクゴク飲みたい」。文書にはこんな一節もある。

 これを受け市は12年5月、水源の取水口がある山肌をブルーシートで覆い応急処置を施したが、効果はほとんどみられない。

 抜本的な対策としては、旧福井市の上水道との統合があるが「コストが大きすぎる」(市担当者)として到底無理な状況。他には、新たな水源による簡易水道の再整備がある。ただ市には「簡易水道等事業分担金徴収条例」があり、事業費の3・5〜10%の受益者負担が生じる。上水道には存在しない負担であり、多くの住民は「不公平」と訴える。

 市によると、簡易水道を再整備した最近のケースでは、1世帯当たりの負担額は「十数万円」だった。

■5倍の料金■

 06年の市町村合併は水道料金も大きく変えた。美山地区の料金は11年、旧福井市の基準に統一された。東河原町の松田政信さん(67)は「合併で水道料金は数倍に跳ね上がった」と話す。ある世帯では、料金が統一される前の1カ月の水道料金は650円。現在は3千円超で約5倍になった。

 佐々木さんは「水道料金が上がったうえ、独り暮らしの高齢者に、簡易水道のために10万円以上の負担をお願いしても無理」。今後、さらに人口が減れば、負担額はさらに増える可能性がある。

 耐用年数を超えた福井県の水道管は539・8キロ(11年度)で全体の8・6%。06年度比で200キロ以上増えている。佐々木さんは「過疎地域では、まともな水も飲めなくなるのではないか」と不安を口にする。

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