商品の素材分析を行う山崎さん。「仕事はやりがいがある」と話す=福井市のフクビ化学工業

 人口減対策の一環で福井県は4月から、女性のU・Iターンを増やす取り組みを強化する。県外大学の理系女子(リケジョ)をターゲットに、福井県内企業の説明会を開催したり、県外女性の中途採用を進める企業には給与を補助するなど、あの手この手でアプローチする。高校卒業後に県外に転出した女性の、就職時のUターン者数は10年間で7割以上減っており、男性より深刻な状況だ。県外流出に歯止めをかけられるか。女性に特化した政策の成果が注目される。

■帰りたいけど…■

 「30代になると大学時代の友人との縁も薄くなる。福井の男性と結婚しUターンしたい」。県などが、首都圏在住で福井県出身の20〜30代女性102人に、インタビュー調査した際に出てきた声だ。

 調査結果を基に県は▽具体的な仕事内容に関する情報提供が不足している▽女性が活躍できる企業や昇進の道筋などの提示が必要▽女性が希望する業種や職種の企業誘致が重要—と分析した。

 国勢調査によると、県内の高校を卒業し県外に転出した女性が、就職時(23歳)に福井県に戻ってくるのは年に約200人。10年前に比べ約500人減った。Uターン率も4割から2割に下がり、男性よりも減少幅は大きい。

■プラス1提案■

 「各企業が、県外に進学した若者を『プラス1』として採用する運動を展開すべきだ」。昨年開かれた県内の経済界、大学、市町関係者らでつくる「ふくい創生・人口減少対策推進会議」で、ある経営者が提案した。

 県はこの意見をアレンジし、女性に特化した取り組みに着手。U・Iターン者の中途採用を進める企業に、3カ月間の給与等を補助する制度を1日から始める。

 福井県は眼鏡や繊維など製造業が盛んなことから、近年話題の理系女子にも注目している。福井県と就職支援協定を結ぶ京都府の立命館大、京都産業大、京都女子大などの理系女子を対象に、複数の県内企業が業務や研究内容などを紹介する説明会を今秋、関西で開く。

 福井高専卒で、フクビ化学工業(福井市)の技術開発部で働く山崎法子さん(40)は「仕事はやりがいがあり、ずっとこの会社で働きたい。男性が多い職場なので女性の後輩は欲しい」と、こうした取り組みを歓迎する。

 女性の採用は、企業内で働き方を見直す契機にもなっている。同社の人事担当者は「女性は子育てが始まると働く時間が限られるため、時間の使い方を工夫する。働き方の密度が男性より濃いケースもある」と指摘する。

■移住セミナーも■

 県は目玉事業として、U・Iターン就職を条件に、県外大学生の奨学金の返済を支援する制度も創設した。農林水産、建設、情報など分野は幅広く、女性の割合が高い薬剤師、看護師、歯科衛生士も対象に入れた。グローバル化で県内企業の海外進出が多いことから、語学力を生かした就職を希望する女性対象の移住セミナーも開く予定だ。

 県の人口推計によると、県外への転出者が転入者を上回る「社会減」は10年以上続いており、2014年は2233人減少。うち約5割は20〜24歳が占めている。県ふるさと創生室は「女性を中心にU・Iターン者を増やすことで、社会減に歯止めをかけたい」としている。

 一方、県内企業のある人事担当者は「福井県の待機児童はゼロというが、育児休業を取り終え、保育園に預けようとしても、市町によっては『4月から来てください』と断られることがある。行政には、子育て世代がもっと働きやすくなる環境を整えてもらいたい」と注文した。

関連記事
あわせて読みたい