7歳の息子は左側の陰嚢(いんのう)が明らかに大きいです。右側の5倍ぐらいあり、右側の精巣(睾丸)が左側の下に隠れているようにも見えます。痛みはないようですが触ると、こそばゆいようです。見た目から鼠径(そけい)ヘルニアではないかと思いますが、治療が必要でしょうか。教えてください。(福井市、29歳女性)

 【お答えします】杉田浩章・福井県済生会病院外科副医長

 ■袋状に残った腹膜原因

 男児の陰嚢が腫(は)れている原因としては、代表的なもので鼠径(そけい)ヘルニアと陰嚢水腫が考えられます。どちらも痛みを伴うことは少なく、陰嚢の腫れが見られます。超音波検査などで鑑別が可能です。

 胎児期に精巣がおなかの中から陰嚢に下りていく際、おなかの膜(腹膜)が閉じないで袋状になっていることから発症します。腹膜鞘状(しょうじょう)突起という先天的な理由です。

 陰嚢水腫の場合は、おなかの中と腹膜鞘状突起がつながっていることはほとんどないため、水がたまるのみで経過観察も可能です。鼠径ヘルニアは、おなかの中とつながっているため腸が飛び出すことがあり(いわゆる脱腸)、場合によっては腸がはまり込んで腸閉塞(へいそく)を起こす可能性があるため治療が必要です。

 ■子どもは手術が基本

 鼠径ヘルニアの根本的治療は手術で、今回は当院で行っている方法について説明します。

 手術は小児に対しては全身麻酔の日帰り手術(2歳以下では1泊2日)を基本としています。足の付け根辺りの鼠径部を皮膚のシワに沿って約2〜3センチ切開し、袋状になった腹膜鞘状突起(ヘルニア嚢)を見つけ出します。ヘルニア嚢を周囲の組織から根本まできれいにはがします。

 ヘルニア嚢の根本をヘルニア門と呼びますが、その位置でヘルニア嚢を糸で縛ってふさぎ、腸などが出てこないようにします。最後に抜糸が不要の縫い方で傷を閉じ、終了です。

 成人の鼠径ヘルニアのようにメッシュなどの人工物は使用せず、この方法で再発はほとんど報告されていません。また、最近ではより傷痕が小さく体に負担の少ない腹腔鏡を使った手術も普及しつつあり、当院でも成人の鼠径ヘルニアに対して導入しています。

 お子さんに陰嚢の腫れや鼠径部の腫れがあった場合は、鼠径ヘルニアの可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

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