味噌屋大賞に向けて、自分が読んでいる本を紹介し合う多田社長(左から3人目)と社員=福井市春山2丁目の米五

 過去1年に出た本の中で最も味わい深いものは—。みそ製造販売会社の社長、社員が選ぶ福井発の「味噌(みそ)屋大賞」がある。3回目となる今年の発表は1日。大賞には、自社自慢のみそを贈ってきた。ユニークな賞を続けることで、従業員間のコミュニケーションが深まるなど組織の活性化も生み出している。

 この会社は福井市春山2丁目の米五。2014年から大賞を選出。全国の書店員が選ぶ本屋大賞にならったもので、年末に発表される同賞ノミネート10作を対象に、1人が「ノルマ本」1冊を含む3冊以上、計1069ページ以上になるよう本を選ぶ。4冊の場合は3、2、1、0点を付けて投票。本屋大賞に先駆けて決定する。

 これまで「ランチのアッコちゃん」「本屋さんのダイアナ」(ともに柚月麻子さん作)が大賞に輝いた。あくまで「味わい深さ」を評価するため、本屋大賞とは重なっていない。出版社の担当編集者宛てにみそ、関連商品を贈って喜ばれている。

 同社は、社内研修として読書会を開いており、大賞は遊び心を加えて発展させた。eコマース(電子商取引)やSNSを積極的に活用しているが、多田和博社長(58)は、入社前から従業員に本に親しむよう導く。その狙いを「活字には先人の知識が詰まっている。社員が成長する上で利用しない手はない」と話す。また読書会もビジネス書一辺倒にならないようにする。「ビジネス書を吸収してアウトプットするのはそう簡単ではない。感情移入をして厚い本を読む達成感も必要」と説く。

 第3回大賞の投票者は社長を含む11人。発表を2週間後に控えた会議室では、従業員同士、社長と候補作について楽しげに語り合う姿があった。営業部長の廣澤成高さん(39)は、「どの本を選んだ、何冊読んだかと社内コミュニケーションが活発になる。3回目を迎えて同僚のつながりが強くなったと思う」と振り返る。20代女性からは「本を読んだ同僚の感想を聞くと、そんな考え方があったのかと発見がある」との声も。本を読み、人生や社会について考えを分かち合うことで一体感を組織に生み出しているようだ。

 大賞はSNSで社長が発表。今年は全国鑑評会向けに作った非売品のみそなどがメーンの賞品になりそう。

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