約680年間秘蔵された畑時能のものと伝わる鉄笛や守り本尊など=福井県あわら市伊井の応蓮寺

 南北朝時代の武将で新田義貞の四天王の一人、畑時能(はた・ときよし)の遺品とされる鉄笛が、約680年間秘蔵してきた菩提寺の応蓮寺(福井県あわら市伊井)で4月9日に初公開される。講演会や、時能と鉄笛を詠んだ漢詩の吟舞披露もあり、忠義を貫いた武人をしのぶ。

 時能は武蔵国に生まれ、義貞の側近として活躍。義貞の死後も城を転戦し1341年、現在の同県勝山市北郷町伊知地の鷲ケ岳で戦死した。伊知地にある「畑ケ塚」では毎年10月に慰霊祭が行われている。

 同寺に残る大正時代に時能について書かれた布の巻物によると、笛は建武の新政(1333年)に貢献した楠木正成から義貞、義貞の弟脇屋義助を経て時能が所持し、子の惟能(これよし)に渡った。惟能は1344年、伊井にあった神社に移った際、住まいを応蓮庵と名付け畑家の墓を設けた。庵は後に応蓮寺となり、代々の住職は笛を秘宝として家族にも見せず墓とともに守ってきた。

 鉄笛は長さ48・5センチ、直径約1・5センチで漆塗りの箱に入っている。箱の表には「楠公之鉄笛 嘉暦三(1328)年九月日」とある。

 6年前亡くなった同寺の先代の秀真能昭(ほづま・よしあき)住職は、友人の円道昭一さん(82)に「すてきな形で守っていってもらえれば」と話していた。そのため、円道さんは時能について学ぼうと、義貞を研究する「福井・新田塚郷土歴史研究会」(福井市)に入会。会員に同寺での公開を勧められ、壇信徒と円道さんら住民で「応蓮寺の鉄笛を守る会」を結成した。

 9日午後1時半から、同研究会の河原俊厚会長が「越前における南北朝争乱と畑時能」と題し講演。鉄笛や巻物、時能のものと伝わる守り本尊などを公開する。巻物に書かれていた漢詩を、紫州流日本明吟会福井本部芦原支部と、真舞流吟舞道会芦原教室の生徒が吟舞で披露する。入場無料。

 第27代の秀真哲朗住職(42)は「会とともに鉄笛などを守り伝えていきたい」と話している。

関連記事
あわせて読みたい