魚の脂質が検出された土器の破片を手にする鰺本主任=21日、福井県小浜市の県立若狭歴史博物館

 福井県小浜市の県立若狭歴史博物館の鯵本眞友美主任(43)ら日英の研究チームが、若狭町の鳥浜貝塚から出土した土器について約1万4千年前から約9千年間、主に魚などの水生生物の煮炊きに使われていたことを確認した。鯵本主任は「(同貝塚の)縄文人が魚好きだったのか、儀式的に煮炊きを行っていたのかは分からないが、文化的な要素があったのではないか」と指摘している。

 研究結果は論文にまとめられ、22日発売の「米国科学アカデミー紀要」に掲載される。

 鯵本主任らの研究チームは2010年から、鳥浜貝塚で出土した土器片を中心に、土器と焦げ跡に付着した脂質成分を分析した。13年には、鳥浜貝塚と大正3遺跡(北海道)の土器片(1万4千〜1万1千年前)から魚の脂質を検出し、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 その後、同貝塚から出土した土器片を約9千年間分に拡大して調査。その結果、143サンプルのうち、142サンプルから煮炊きの際に土器片に染み込んだとみられる複数種の魚の脂質が検出された。

 調査対象の破片が使われていた約1万4千〜5千年前は、氷河期から温暖期へと移り変わり、食べ物の種類が増えた時期。同貝塚からもドングリやシカ、イノシシなどの骨など、多様な食べ物の痕跡が出土している。この時代の土器は、さまざまな食品の調理や保存技術に合わせて使われてきたと考えられてきたが、同貝塚では長期間にわたって、土器での煮炊きが主に魚のためだったことが裏付けられた。

 鯵本主任は「同貝塚の土器からも、木の実やシカなどの成分も出ているが、魚の比率が圧倒的に高い。煮炊きしたのは魚が中心だった」と強調した。また今後については、「土器が作られた起源と世界への広がりを突き止めるのが最終目標」と意欲を燃やしている。

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