40年ほど前から小豆大の痔(じ)が出てきていました。およそ5年前からは親指ぐらいの痔が外に出てきて、押し込んでもすぐ出てしまいます。強い痛みはありませんが、排便しても便が残っているように感じて、1日に4〜5回ぐらいトイレに行き、おならが頻繁に出ます。さらに粘液がいつも出ていて、ナプキンを使っているため外出もあまりできません。手術をすれば治るのか、治療法を教えてください。(鯖江市、77歳女性)

 【お答えします】道傳研司・福井県立病院外科主任医長

 ■原因は複数の場合も

 相談者には多くの症状があるようです。多くの症状が一つの原因から出ている場合と、複数の原因から出ている場合に分けて考えてみましょう。

 原因が一つの場合は脱肛(だっこう)、あるいは直腸脱や直腸粘膜脱などを考える必要があります。脱肛は痔核(じかく)(いぼ痔)のひどい状態であり、治療法は痔核の切除か、注射をするALTA療法が一般的です。

 直腸壁の全層が肛門からずり落ちてくる直腸脱には多くの手術方法があります。それぞれの手術で、体への負担の程度や再発率に差があるため、それらをよく理解した上で手術方法を決めなければなりません。

 一方、相談者は比較的年配の女性ですので、複数の原因あるいは年齢的変化があり、そのために多くの症状が出ている可能性があります。

 例えば「痔」や「押し込んでも出てくる」という症状の患者さんを診察すると、内痔核(肛門内のいぼ痔)が大きくなって肛門外に出てくる状態だったり、肛門ポリープが出入りしていたり、痔ではなくて直腸脱だったり、原因はいろいろあります。

 また「便が残っている感じ」の症状は、原因に直腸脱や排便障害などがあります。「粘液がいつも出ている」という場合、原因は肛門括約筋機能の低下や脱肛、あるいは直腸脱や直腸粘膜脱などがあります。もし、複数の原因が関わっている場合には、相談者が最も気にして、生活の質を低下させている症状を中心に治療法を考えていくことになります。

 ■決めつけないで受診を

 最も重要なことは、症状だけで痔と決めつけないことです。がんは痔と症状が似ていることも多く、痔と思って診察に来られた患者に大腸内視鏡検査を行うと、実は大腸がんによる症状だったということもよくあります。痔だと思っても、内視鏡検査でがんがないことを確認しておくことが大事です。

 まずは専門医の診察を受けましょう。診察を受けた上で、手術を受ければ治るのか、症状が改善するのか、相談してみてください。

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