丹巌洞草庵の座敷。壁には松平春嶽や橘曙覧らがつづった書などが貼られている=福井県福井市加茂河原1丁目

「兜造」のかやぶき屋根が特徴の旧増尾家住宅主屋=福井県南越前町板取

 文化審議会は11日、丹巌洞草庵(たんがんどうそうあん)(福井県福井市加茂河原1丁目)と旧増尾家住宅主屋(同県南越前町板取)の2件を、国登録有形文化財(建造物)とするよう馳浩文部科学相に答申した。県内の国登録有形文化財は計157件となる。

 丹巌洞草庵は1846(弘化3)年ごろ、福井藩医の山本瑞庵(ずいあん)の別荘として建てられた。土蔵造り2階建てで、建築面積は68・77平方メートル。1階に茶席や水屋などを備え、数寄屋風の居住空間を意識した造りが特徴。2階は9畳半の和室があり、天井まで2メートルほどと極端に低い。幕末維新期に松平春嶽や橋本左内、橘曙覧ら藩の要人が集った場で、座敷の壁には春嶽や曙覧らがつづった古びた書などが貼られている。

 草庵は昭和初期に開業した庭園内の料亭「丹巌洞」の資料館として公開されている。料亭を営む宮崎信雄さん(77)は「祖父の又作が170年前に瑞庵の子孫から譲り受けた。今まで通り手入れして現状を保ち、息子や孫に引き継いでいきたい」と話している。

 旧増尾家住宅主屋は1823(文政6)年ごろ建てられ、木造2階建て、建築面積111・32平方メートル。宿場町として栄えた北国街道の板取宿に位置し、かつては「米屋」の屋号で旅館を営んでいた。屋根はかやぶきで正面を台形に刈り取り、2階の窓が露出しているのが特徴。この「兜(かぶと)造」の屋根は当時、採光や風通しが良く養蚕農家や同街道沿いの民家に多く見られたという。同街道沿いでは同住宅主屋と南隣の旧竹沢家住宅の2棟が残っている。

 南越前町教委の玉村幸一学芸員は「旧増尾家を含めて板取宿にはかやぶき屋根の建物が4棟残る。今回の登録で板取宿の景観の価値が認められる。建物の雰囲気を生かしたコンサートをこれまで開いてきたが、さらにイベントなどを企画して誘客につなげたい」と話している。

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