中国の文豪魯迅が、仙台医学専門学校(現東北大医学部)に留学した際に筆記し、あわら市出身の藤野厳九郎教授が添削した講義ノートの複製本が二十日、原本を所蔵する中国の北京魯迅博物館から県に寄贈された。ノートは中国の国家一級文物(国宝)で、藤野教授の添削は学生時代の魯迅を励まし、小説「藤野先生」のモチーフとなったことで有名。魯迅と藤野教授の関係や医学史を研究する上で貴重な資料となりそうだ。

 ノートは、一九○四(明治三十七)年に同専門学校に入学した魯迅が講義を筆記し、藤野教授らが添削した。脈管学、解剖学など全部で六冊あり、今回県が寄贈を受けたのは、藤野教授が担当した脈管学のノートを写真撮影し製本したもの。所々に「注意」と記した書き込みや訂正、加筆が赤ペンで施されている。

 魯迅は添削のエピソードを作品「藤野先生」で取り上げ、藤野教授のことを「最も私を感激させ、励ましてくれた」人格者として描いている。

 これまで原本はほとんど公開されず、ノートの一部ページの複製が展示されることはあったが、全体の複製本が作られたのは初めてという。

 東北大には昨年、研究用に全六冊のDVDが贈られ、同大では二月十八日、これを記念した国際シンポジウム「魯迅と藤野先生」を開催した。出席者として来日した同博物館の孫毅館長や同大関係者ら四人が本県を訪れた。

 一行は、藤野教授の資料がある、あわら市の市国際交流センターと藤野厳九郎記念館を見学した後、県庁を訪問。西川知事に複製本を手渡した孫館長は「魯迅と藤野先生の友情は、現在の日中友好の源。これを機に、博物館と福井県、あわら市との友好関係を築きたい」とあいさつ。同博物館に改修計画があり「(新館に)藤野先生の胸像を設置したいので協力を」と語った。

 県では新年度、藤野教授の故郷としての福井を国内外にアピールする事業を計画。脈管学ノートのレプリカ作製や寄贈本の展示、講演会を予定している。
 一方、東北大はノートを翻訳し、文学者や医学者ら十数人の専門チームで内容の研究を進めることにしている。

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